【2025年最新】アレルギー検査39項目(View39)の費用・内容・信頼性を徹底解説

健康

近年、国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っていると言われており、アレルギーに悩む方が急増しています。花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など、アレルギー症状は多岐にわたり、日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。しかし、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を特定することは容易ではなく、複数のアレルゲンが関与している場合も多いのが現実です。そこで注目されているのが「アレルギー検査39項目(View39)」です。この検査は、一度の少量の血液採取で39種類ものアレルゲンを同時にスクリーニングできる画期的な検査方法として、多くの医療機関で活用されています。原因不明のアレルギー症状にお悩みの方や、自分がどのようなアレルゲンに反応するのか知りたい方にとって、非常に有用な検査といえるでしょう。

View39(アレルギー検査39項目)とは何ですか?どんな検査なのでしょうか?

View39(ビュー39)は、一度の少量の血液採取で39項目のアレルギー原因物質を同時に検査できる血液検査です。特に、原因が特定されていない即時型アレルギー(アレルゲンが体内に入ってから比較的すぐに症状が出るタイプ)のスクリーニング検査として医療現場で広く推奨されています。

この検査の仕組みは、血液中の「特異的IgE抗体」の量を測定することで行われます。IgE抗体は、アレルギー反応に関与する免疫物質で、特定のアレルゲンに対して特有に作られます。体がアレルゲンを「敵」と認識すると、このIgE抗体が産生され、再度同じアレルゲンが体内に侵入した際にアレルギー症状を引き起こす原因となります。

View39の大きな特徴は、採血量がわずか血清で0.5mLと非常に少量で済むことです。これは、特に小さなお子様や血管が細い方にとって大きなメリットといえます。検査結果は通常、採血から約1週間程度で判明するため、比較的短期間でアレルギーの原因を特定する手がかりを得ることができます。

アレルギーによって引き起こされる症状は実に多様で、皮膚症状(じんましん、湿疹、かゆみ)、粘膜症状(目のかゆみ、鼻水、くしゃみ)、呼吸器症状(咳、ぜんそく、息苦しさ)、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)など全身にわたります。重篤な場合には、生命に関わるアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。View39は、これらの多様な症状の原因となりうるアレルゲンを幅広くスクリーニングできるため、原因不明のアレルギー症状を抱える患者さんにとって、非常に価値の高い検査といえるでしょう。

View39で検査できる39項目の具体的な内容を教えてください

View39では、日常生活で接触する可能性の高いアレルゲンを中心に、吸入系・その他アレルゲン19項目と食物系アレルゲン20項目の合計39項目を測定することができます。

吸入系・その他アレルゲン(19項目)では、まず室内環境に関連するものとして、ヤケヒョウヒダニとハウスダスト1が含まれています。これらは通年性のアレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの主要な原因となることが多く、特に日本の高温多湿な環境では重要な検査項目です。

動物関連では、ネコ皮屑とイヌ皮屑が測定されます。ペットを飼っている家庭や、動物と接触する機会がある方にとって重要な項目です。昆虫では、ガとゴキブリが含まれており、特にゴキブリはぜんそくの悪化因子として注目されています。

花粉症の原因となる樹木花粉では、スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)、シラカンバ(属)が検査項目に含まれています。草本類では、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリなど、季節性アレルギー性鼻炎の主要な原因となる花粉が網羅されています。

真菌(カビ)関連では、アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア(属)が含まれており、湿度の高い環境で問題となりやすいアレルゲンをカバーしています。その他として、医療用手袋などに使用されるラテックスも測定項目に含まれています。

食物系アレルゲン(20項目)では、食物アレルギーの代表的な原因食品が幅広く含まれています。卵関連では卵白とオボムコイドが測定されます。特にオボムコイドは加熱してもアレルゲン性を失わない性質を持つため、卵アレルギーの重症度を判断する重要な指標となります。

基本的な食品として、ミルク、小麦が含まれ、豆・穀物・ナッツ類では、ピーナッツ、大豆、米、ゴマ、ソバが測定されます。これらは加工食品にも広く使用されているため、食生活への影響が大きい項目です。

甲殻類ではエビとカニ、果物ではリンゴ、キウイ、バナナが含まれています。魚・肉類では、マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉と、日常的に摂取する主要なタンパク源が網羅されています。

ただし、近年増加傾向にあるクルミやカシューナッツなどの木の実類は含まれていない点に注意が必要です。2025年度中にはカシューナッツが食品表示の義務対象に追加される予定もあり、これらのアレルゲンが疑われる場合は別途検査が必要になります。

アレルギー検査39項目の費用はいくらかかりますか?保険は適用されますか?

View39の費用は、アレルギー症状があり医師が検査の必要性を認めた場合に健康保険が適用されます。保険適用時の自己負担額は、負担割合によって以下のようになります。

3割負担の場合:約5,000円〜6,000円程度が相場とされています。ただし、医療機関によって多少の差があるため、事前に確認することをお勧めします。2割負担の場合は約3,400円程度、1割負担の場合は約1,700円程度となります。

特に注目すべきは、中学生までは医療費が無料となる医療機関もあることです。これは各自治体の子ども医療費助成制度によるもので、お子様のアレルギー検査を検討している保護者の方にとっては大きなメリットといえるでしょう。

一方で、症状がない場合に検査を受けると自費診療となり、費用は約15,000円から24,000円程度と高額になる可能性があります。これは「人間ドック」や「健康診断」の一環として受ける場合や、症状がないにも関わらず「念のため」で検査を希望する場合に該当します。

検査費用に加えて、別途診察料(初診料や再診料)がかかることも忘れてはいけません。初診料は約3,000円程度、再診料は約700円程度が一般的です。

他の検査方法との費用比較も重要なポイントです。特定の項目を選択して検査する「RAST」という方法では、3割負担で10項目約4,000円、1項目につき約330円となります。もし疑わしいアレルゲンが多数ある場合、View39は個別にRAST検査を行うよりもコストパフォーマンスが高いといえます。

例えば、15項目をRASTで個別に検査した場合、約5,000円程度かかりますが、View39なら同程度の費用で39項目すべてを調べることができます。原因不明のアレルギー症状で幅広いスクリーニングが必要な場合、View39の経済的メリットは非常に大きいといえるでしょう。

ただし、保険適用のためには医師による診察と検査の必要性の判断が前提となります。単純に「調べてみたい」という理由だけでは保険適用とならない場合があるため、まずは症状について医師に相談することが重要です。

View39の検査結果の信頼性や限界について知りたいです

View39を含むアレルギー検査の信頼性について理解することは、適切な検査活用のために極めて重要です。まず知っておくべき重要な事実は、アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト)の信頼性は50〜60%程度であることです。これは、約半数の方が「偽陽性」(間違って陽性と判定される)の可能性があることを意味しています。

この現象が起こる理由は、検査で測定されるのはアレルゲンに「感作されている」(IgE抗体を持っている)状態であり、実際にそのアレルゲンで症状が出るかどうかは別問題だからです。つまり、検査で陽性が出ても、そのアレルゲンを摂取したり接触したりしても症状が出ない場合が多いのです。

View39のような多項目同時測定検査は、原因不明のアレルギーのスクリーニング検査として位置付けられており、診断や臨床経過の評価に用いることは推奨されていません。これは医学的に非常に重要なポイントで、検査結果だけでアレルギーの診断を確定することはできないということを意味しています。

特に危険なのは、検査結果のみを根拠とした不適切な食物除去です。これは不要な生活制限や栄養失調につながる危険性が指摘されており、特に成長期のお子様では深刻な問題となる可能性があります。例えば、卵や牛乳が陽性と出たからといって、症状がないにも関わらずこれらを完全に除去することは、必要な栄養素の不足を招く恐れがあります。

食物アレルギーの診療では「プロバビリティーカーブ」という図を用いて、特定のIgE抗体価と症状出現の可能性を年齢別に推定することがありますが、View39の検査結果ではこのプロバビリティーカーブを直接利用できないため、症状誘発の可能性を正確に計算することが困難です。

食物アレルギーの確定診断のためには、「食物経口負荷試験(OFC)」が不可欠です。OFCは、実際にアレルゲンの可能性がある食物を段階的に摂取し、症状の出現を確認する検査です。この検査により、アレルゲンの特定だけでなく、安全に摂取できる量の決定や、耐性獲得の確認も可能になります。

ただし、OFCはアナフィラキシーなどの重篤な反応を引き起こすリスクがあるため、専門的な医療機関で医師の指導のもとに行う必要があります。自己判断での食物除去や経口負荷試験は大変危険であり、絶対に避けるべきです。

View39のもう一つの限界は、全ての食物アレルゲンをカバーしているわけではないことです。例えば、最近アレルギーが増加しているクルミやカシューナッツなどの木の実類は含まれていません。また、卵のアレルゲンコンポーネントとしてはオボムコイドしか測定できないため、より詳細な診断が必要な場合は、診断精度がより高いイムノキャップなどの検査が推奨される場合があります。

アレルギー検査39項目と他の検査方法との違いや使い分けを教えてください

アレルギー検査には複数の選択肢があり、それぞれに特徴と適用場面があります。View39と他の主要な検査方法を比較することで、最適な検査選択の参考にしていただけるでしょう。

MAST36は、36項目のアレルゲンを一度に測定できる検査です。食物系20項目、季節性花粉8項目、通年性環境アレルゲン8項目が含まれており、加工食品への表示が義務付けられている特定原材料7品目(卵、乳、小麦、落花生、エビ、カニ、ソバ)を全てカバーしています。View39との違いは、MAST36にはトマト、モモ、コナヒョウヒダニなどが含まれている点です。食物アレルギーの基本的なスクリーニングを重視する場合は、MAST36も有力な選択肢となります。

MAST48mixは、MAST36に6つのミックス項目(合計18種類のアレルゲン)が追加された48種類を調べられる検査です。ミックス項目には、木の実、カビ、ブタクサ、イネ科、ダニ、イヌ・ネコの皮屑などが含まれています。ただし、ミックス項目が陽性の場合、個別の項目で追加検査が必要になることがあるため、初期スクリーニングとしての位置づけが強い検査です。

イムノキャップラピッド8は、指先からの採血で8項目(ヤケヒョウヒダニ、ネコ皮屑、イヌ皮屑、シラカンバ、ヨモギ、カモガヤ、ブタクサ、スギ)を簡易的に検査できます。最大の特徴は約20分で結果が分かることで、スギやダニを対象とした舌下免疫療法開始の判断材料として非常に有用です。ただし、食物アレルゲンは検査できないため、環境アレルゲンに特化した検査といえます。

RAST(シングルアレルゲン)は、特定の項目を選択して個別に検査する方法です。3割負担で1項目につき約330円と比較的安価で、疑わしいアレルゲンが限定的な場合に適しています。また、定量性が高く、プロバビリティーカーブを用いた症状予測も可能なため、食物アレルギーの詳細な診断には最も適している検査方法です。

使い分けの指針としては、以下のような考え方が有効です。

原因不明の多様なアレルギー症状があり、幅広いスクリーニングが必要な場合はView39が最適です。費用対効果が高く、一度で多くの情報を得ることができます。

舌下免疫療法を検討している場合や、環境アレルゲンに特化した迅速な結果が必要な場合はイムノキャップラピッド8が適しています。

特定の食物アレルギーが強く疑われ、詳細な診断や治療方針の決定が必要な場合はRASTによる個別検査が推奨されます。

検査を受けられる診療科も重要な選択要素です。小児科では子どもの食物アレルギーや乳児アトピー性皮膚炎、内科では大人の花粉症やじんましん、皮膚科ではアトピー性皮膚炎、耳鼻咽喉科ではアレルギー性鼻炎、アレルギー科では専門的な診断と治療が行われます。

ただし、医療機関によっては実施しているアレルギー検査の種類が限られている場合があるため、特定の項目を調べたい場合は事前に問い合わせることが重要です。最適な検査選択のためには、症状の詳細と検査の目的を明確にし、専門医と十分に相談することが何よりも大切です。

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