コストコ転売の違法性については、転売行為そのものは日本の法律で禁止されておらず、原則として合法です。ただし、必要な許認可を取得せずに食品や中古品を販売した場合、確定申告を怠った場合、国民生活安定緊急措置法で規制された商品を転売した場合には違法となり、最大で3年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される可能性があります。2025年9月には全国初となるコストコ再販店での備蓄米転売事件が摘発され、法令遵守の重要性が改めて浮き彫りとなりました。
コストコは会員制の大型倉庫型スーパーマーケットとして、大容量・低価格の商品が魅力であり、近年ではこれらの商品を仕入れて転売する「コストコせどり」や「コストコ再販店」というビジネスモデルが注目を集めています。コストコ自体がもともと業者向けに作られたスーパーマーケットであり、再販業者を推奨している側面があるため、適切なルールを守れば問題なく事業として行うことが可能です。この記事では、コストコ転売に関する法的な問題点や違法となるケース、実際に摘発された事例、そして違反した場合の罰則内容について詳しく解説していきます。これからコストコ転売を始めようと考えている方や、すでに転売事業を行っている方にとって、リスクを正しく理解し、合法的にビジネスを展開するための指針となる内容をお届けします。

コストコ転売とは何か
コストコ転売とは、会員制倉庫型スーパーマーケットであるコストコで商品を購入し、それを他の消費者に販売して利益を得るビジネスモデルのことです。「コストコせどり」とも呼ばれるこの手法は、コストコの特徴である大容量・低価格の商品を活用し、小分け販売やオンラインでの転売によって利益を生み出します。
コストコは公式サイトにおいて「コンテナ・パレット単位での大量購入をご希望の際は」といった文言を記載しており、条件によってはビジネス用の買い付けも受け入れていることがわかります。つまり、コストコ自体は再販店ビジネスを制限する規約を設けておらず、むしろ事業者向けの大量購入を歓迎する姿勢を見せているのです。
再販事業を本格的に行う場合は、年会費5,280円(税込)のビジネスメンバーになることが推奨されています。ビジネスメンバーは企業や組合、事業主向けに発行されるもので、個人会員より年会費が605円安くなるというメリットがあります。なお、個人用の一般カードは事業用の決済ができないという規約があり、そのまま使い続けると規約違反でクレジットカードが没収されて退会処分になることもあるため、注意が必要です。
コストコ転売は違法なのか基本的な考え方
コストコ転売の違法性を考える上で、まず押さえておくべき重要な点は、日本において転売行為そのものを禁止する法律は存在しないということです。商品を購入し、それに利益を上乗せして販売することは商取引の基本的な形態であり、これ自体は完全に合法となっています。
コストコのオンラインショッピング利用約款第11条には、再販売に関する注意事項が明記されています。会員がオンラインショッピングで購入した商品を再販売する場合、購入者に対してコストコが販売主体ではないことを説明し、購入者がコストコを販売主体であると誤認することがないようにしなければならないとされています。
商標の使用についても規定があり、コストコで購入した商品を再販売する場合に「コストコ」や「Costco」等の商標を表示することはできません。ただし、商品の仕入れ元がコストコであることを説明するために、商品説明資料において普通の態様かつ通常の字体で「コストコ」または「Costco」の文字を表示することは認められています。
コストコ転売が違法となる具体的なケース
転売自体は合法であっても、以下のような場合には違法となり、罰則の対象となります。それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
食品販売における営業許可の未取得
食品を販売する場合は、食品衛生法に基づいて営業許可を取得する必要があります。営業許可を受けずに食品を製造・販売した場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑が科されることになります。また、営業許可の有効期限内の更新を怠るか、必要な条件を満たしていない場合は、1年以内の懲役または100万円以下の罰金刑となります。
ただし、すべての食品販売に許可が必要というわけではありません。常温での保存が可能な包装済みの食品・食品添加物の販売業は、許可や届出がなくても食品の販売ができます。具体的には、包装されたスナック菓子、カップ麺、ペットボトル飲料、缶飲料、密閉されたジャムなどがこの「常温で長期保存ができ、かつ食品衛生上問題がない食品」に該当します。
一方で、食品を小分けにして販売する場合には、別途「食品小分け業許可」が必要になるケースがあります。商品のラベルや表示内容を改変して販売する場合は、景品表示法や食品衛生法などの法令に触れる可能性があるため、十分な注意が必要です。
中古品転売における古物商許可の未取得
中古品を転売する場合は、古物商許可を取得していなければ古物営業法に違反となります。転売ヤーが営利を目的としていることは明らかであるため、転売行為が反復継続して行われている場合には古物商に該当し、古物営業の許可を受ける必要があります。
古物取引の無許可営業の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方となっています。さらに、処罰されてから5年間は古物商許可を取得することができないというペナルティも同時に受けることになります。
なお、新品を購入して転売する場合には、古物商許可は必要ありません。古物営業法は「盗品等の流通防止や早期発見」を目的としており、メーカーや小売店等から新品を購入している場合、購入した商品が「盗品等」である可能性は低いためです。
ただし、「古物」の定義には注意が必要です。古物とは「一度使用された物品、もしくは使用されていない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらの物品に幾分かの手入れをしたもの」と定義されており、開封されていなくても、一度でも消費者の手に渡ったものは「新古品」として古物に含まれます。
酒類販売における免許の未取得
コストコでは酒類も販売されていますが、酒類の販売業を行う場合には酒税法に基づき、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を受ける必要があります。フリマサイトやインターネットオークション等のような形態であっても、継続して酒類を出品し販売を行う場合には酒類の販売業に該当し、販売業免許が必要となります。
酒類の販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることがあります。また、酒税法第56条2項、国税通則法第157条1項により、その販売場にあったすべての酒類を没収されてしまうこともあります。
なお、自分の飲用目的で購入した、または他者から受贈されたなどの酒類のうち、家庭で不要になった酒類をフリマサイトやインターネットオークション等に出品するような、通常継続的な酒類の販売に該当しない場合には販売業免許は必要ありません。ただし、具体的に何本以上からの転売がNG、何回以上の転売がNGといったことは公表されていないため、複数回の転売を繰り返している場合は注意が必要です。
医薬品やサプリメントの無許可販売
一部の医薬品やサプリメント、医薬部外品、化粧品などは薬事関係法令に基づき、販売許可を取得しなければなりません。これらのジャンルの商品を無許可で販売すると違法となり、罰則の対象となります。医薬品の無許可販売は最大3年の懲役が科される可能性があります。
2024年には群馬県と大阪府の女性2名が糖尿病治療薬「リベルサス」を転売したとして書類送検される事案が発生しました。このように、医薬品の転売は厳しく取り締まられているため、絶対に避けるべきです。
確定申告の未申告と脱税
コストコ再販店で得た利益は、確定申告の対象となります。一定以上の売上があるにもかかわらず、確定申告せずに利益を隠蔽することは違法です。
本業でせどりをしている場合は基礎控除額が48万円となっています。サラリーマンが副業でせどりをしている場合は、給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要ですが、副業の所得が20万円を超えると所得税の確定申告をする必要があります。
確定申告を怠ると、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した無申告加算税が課されます。仮装・隠蔽など悪質と判断された場合には、これに代えて40%の重加算税が課せられることもあります。延滞税は、納期限の翌日から2月を経過する日まで年7.3%、2月を経過した日以後14.6%が課されます(特例により軽減される場合あり)。悪質と判断されれば犯罪となってしまう可能性もあります。
国税庁の調査能力は年々向上しており、「必ずバレると思った方が良い」とされています。ヤフオクやメルカリなどと協力して高額の転売をしている人を見つけ出しており、目をつけられてから3〜4年ほど泳がされて、その時点で無申告であることを確認してから税務調査に移行すると言われています。
国民生活安定緊急措置法に基づく転売規制商品の販売
国民生活安定緊急措置法は、国民の暮らしに欠かせない生活必需品の異常な不足や高騰に対処するため、緊急措置を定めた法律で、1973年(昭和48年)に制定されました。この法律に基づき、特定の商品の転売が規制されることがあります。
2020年3月15日以降、マスクの転売行為(購入価格を超える価格での転売)が禁止されました。違反者は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処され、またはこれを併科されました。この規制は2020年8月29日に解除されています。
2025年6月13日には、国民生活安定緊急措置法に基づいて、米穀の譲渡制限および規定に違反した場合の罰則を定める政令改正が閣議決定されました。政府の備蓄米放出で転売による価格つり上げが問題となり、利益を上乗せして不特定多数に転売することが禁止されました。これにより、コストコで購入した米を転売することも規制対象となっています。
コストコ転売における実際の摘発事例
ここでは、実際に摘発されたコストコ転売関連の事例や、転売に関連する重要な摘発事例を紹介します。
コストコ再販店の備蓄米転売事件
2025年9月18日、岐阜県警は、コストコ再販店で備蓄米を購入価格より高く転売したとして、国民生活安定緊急措置法施行令違反(米穀の転売)の疑いで、岐阜県本巣市の小売店運営会社と経営者男性(36歳)、アルバイトの女性(34歳)を書類送検しました。
コメが同法施行令の対象になったのは2025年6月で、この送検は全国初とみられています。これはコストコ転売に直接関連した法違反による摘発事例として非常に重要なケースであり、コストコ再販店を運営する事業者にとって大きな警鐘となりました。
古物商許可なしの転売摘発
2020年2月には、北海道の男性が中古の漁船4隻を無許可で転売したとして、古物営業法違反(無許可営業)で書類送検されました。この男性は20年ほど前から100隻以上の漁船を転売しており、年間数百万円の利益を得ていたとされています。長期間にわたって無許可で転売を続けていた場合、発覚すれば厳しい処分を受けることがこの事例からわかります。
また、インターネット上のダフ屋行為を検挙するのは難しいため、警察は「古物商許可を取らずに、利益目的のチケット転売を繰り返した」として、古物営業法違反(無許可営業)で逮捕したケースもあります。
医薬品転売による摘発
2024年には群馬県と大阪府の女性2名が糖尿病治療薬「リベルサス」を転売したとして書類送検される事案が発生しました。医薬品の無許可販売は重大な違法行為であり、転売対象として絶対に避けるべき商品カテゴリです。
チケット不正転売による逮捕
2021年2月には、新型コロナで観客数制限されていたプロ野球広島戦のチケットを高額転売した東京都内の男女2名がチケット不正転売禁止法違反で逮捕されました。容疑者らは年間指定席を確保し、定価計約1万3千円のチケット8枚を計6万6千円で転売していたとされています。
酒類の無免許転売による摘発
過去には大阪で、「マッカラン」などおよそ1500本の酒(2500万円相当)を購入し転売した方が摘発対象になりました。これが大阪国税局に酒税法違反とみなされ、罰金相当額の納付が勧告されました。また、リサイクル業者が一般家庭から買い取ったウイスキーなどの酒約1700本をインターネットで転売していたケースでも摘発された例があります。
大規模転売詐欺事件
2025年2月には、アップルが転売目的での購入を禁止し個数制限を課していたマックブックを、転売目的でアルバイトを雇い約700台も学割購入などさせていた男女が詐欺容疑で逮捕されました。また、準暴力団関係者らが学生割引を悪用し約700台(総額約1億3千万円相当)のノートパソコンを不正購入・転売した事件も発生しています。学割の不正利用による商品詐取として、厳しく処罰されたケースです。
コストコ転売で適用される罰則内容の一覧
コストコ転売に関連する主な違反行為と罰則内容を表形式でまとめました。
| 違反行為 | 根拠法令 | 罰則内容 |
|---|---|---|
| 古物商許可なしでの継続的転売 | 古物営業法 | 3年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方 |
| 食品衛生法違反(無許可営業) | 食品衛生法 | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金 |
| チケット不正転売 | チケット不正転売禁止法 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、またはその両方 |
| 米穀等の転売規制違反 | 国民生活安定緊急措置法 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方 |
| 酒税法違反(無免許販売) | 酒税法 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒類の没収あり |
| 景品表示法違反(故意の不当表示) | 景品表示法 | 100万円以下の罰金 |
| 偽ブランド品の販売 | 商標法 | 10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金 |
| 確定申告未申告 | 所得税法等 | 無申告加算税15〜20%、悪質な場合は重加算税40% |
プラットフォーム規約違反によるペナルティ
コストコ転売を行う際には、販売プラットフォームの規約にも注意が必要です。法律に違反していなくても、プラットフォームの規約に違反すれば、アカウント停止などのペナルティを受ける可能性があります。
メルカリにおけるペナルティ
メルカリでは転売を禁止行為とはみなしていませんが、規約違反となる可能性がある行為が存在します。メルカリでは「事務局で禁止行為に該当する行為を確認した」または「お客さまからご連絡を受け禁止行為に該当する可能性があると判断した」場合、事務局より警告を行います。警告を繰り返し行っても改善がみられない場合は、一定期間の利用制限または無期限の利用制限を行うとされています。
特に注意が必要なのは無在庫転売です。メルカリでは出品者の手元にない商品の出品を禁止しています。商品の実物が手元にないことで、商品に関する質問に答えられない、配送できない、遅延するなどのトラブルを避けるためです。違反すれば、売上金は没収されたうえに、最悪アカウントが停止されます。
メルカリでのルール違反は、違反の程度に応じて段階的なペナルティが科されます。最も軽度な場合は一時的な利用制限で、制限がかけられている間は新規の出品や購入・コメントなどの機能が制限されます。中程度の違反の場合、本人確認や詳細なヒアリングを経て制限解除の判断が行われます。最も重いペナルティは無期限の利用停止で、事実上の永久停止を意味し、アカウントの復活は極めて困難です。
Amazonにおけるペナルティ
Amazonでは、出品者の健全性を示すパフォーマンス指標が設けられており、この指標にマイナス要因が多いと、アカウント停止のリスクが高まります。
違反の程度や内容に応じて、出品停止処分、アカウント停止処分、アカウント削除処分の3種類が主なペナルティとして科されます。出品停止処分は特定の商品が一時的に販売停止となるペナルティです。アカウント停止処分になると、Amazonでの出品利用ができなくなり、販売活動はもちろん、売上の入金もストップします。アカウント削除となれば、それまで出品していたAmazonアカウントが完全に消失し、同じアカウントでの販売は2度と認められません。
規約違反となる主なケースとしては、複数アカウントでの運用、出品禁止の商品の出品、商標権の侵害、FBA納品での納品不備などがあります。また、Amazonでの無在庫転売について「ドロップシッピング」による無在庫販売が可能とされていますが、実店舗やネットショップで販売している商品を購入する予定で出品するような無在庫転売は規約違反です。
景品表示法違反のリスクと罰則
コストコ転売においては、商品の説明や広告表現にも注意が必要です。景品表示法で規制される表示には、優良誤認表示、有利誤認表示、その他誤認されるおそれのある表示の3種類があります。
優良誤認表示とは、実際の商品よりも著しく良いものであると誤認させる表示のことです。有利誤認表示とは、実際よりも著しく有利(お得)な取引であると誤認させる表示を指します。その他誤認されるおそれのある表示には、ステルスマーケティングなどの消費者の誤認を招く表示が含まれます。
2023年の法改正により、故意に優良誤認表示・有利誤認表示をした場合は犯罪として100万円以下の罰金が科せられることになりました。消費者庁や都道府県は、事業者が優良誤認表示等を行った場合において、必要があると認めるときに措置命令を行うことができます。
さらに、違反行為に係る商品の売上額3%を乗じた金額が課徴金として賦課されます。2024年施行の改正景品表示法では、10年以内に再度の課徴金納付命令を受けた場合には1.5倍に加算されることになりました。なお、故意・過失が認められなくとも景品表示法違反となる点に注意が必要です。
コストコ転売のビジネス上のリスク
法的なリスク以外にも、コストコ転売にはビジネス上のさまざまなリスクが存在します。
在庫・廃棄リスク
コストコの商品は大容量・大量仕入れが基本であり、再販店としては小分けにする必要があるため、手間がかかります。また、商品によっては賞味期限が短いものもあり、売れ残った場合の廃棄リスクや在庫ロスが発生する可能性があります。
商標利用に関する注意
コストコは基本的に再販事業の業務提携を行っておらず、「コストコ公認」や「コストコ再販店」を謳う事業者とは一切の関係がないとしています。2024年1月には、コストコ商品の再販事業をしている事業者に関して、ガイドラインをもとに商標の適正使用について注意喚起が行われました。
会員規約違反のリスク
コストコ利用規約には会員証の譲渡・貸し借りが禁止されています。会員証は会員本人のみが使用でき、譲渡や貸与は規約に違反しています。また、コストコ・プリペイドカードの転売は固く禁じられています。無償譲渡(贈与)は可能ですが、販売することは規約違反となります。
再販店開業の失敗リスク
コストコ再販店は低資金で始めやすい一方、運営方法を誤ると短期間で赤字に陥るケースも少なくありません。実際には「1年以内に閉店してしまう再販店」も少なくないとされています。
開業資金の目安は、小規模な店舗であれば300万円から500万円程度、中規模以上の店舗であれば800万円から2,000万円程度が目安となります。店舗の規模によって必要になる初期費用は異なりますが、500万円から1000万円ほどかかると考えられています。
失敗する主な理由としては、コストコの商品が大容量であるため、売れ行きを見誤ると保管スペースや廃棄コストが増え、利益を圧迫することが挙げられます。小売未経験で立地も家賃が安いからという理由だけで決めたり、店内のディスプレイにまったく力を入れていないなどのパターンで失敗するケースが多いとされています。どちらのパターンでも共通していることは、目先の利益に走ったり、客数を伸ばすための努力をまったくしていないことです。
成功のポイントとしては、もともと小売や再販店に携わった経験があるオーナーが成功するケースが多いとされています。稀に小売未経験でビジネスを始めて成功するケースもありますが、お店の立地が奇跡的によかったなどの運要素がかなり強いとされています。在庫管理のポイントは「売れ筋商品を中心に、必要な数量だけを確保すること」であり、販売データを分析して回転率の高い商品を把握し、季節や需要に応じて仕入れ量を調整することが大切です。
転売ヤー問題の社会的影響と規制強化の動向
近年、転売ヤーによる買い占めが社会問題となり、実際に逮捕されるケースも相次いでいます。特に人気商品や限定品が高額で転売されるケースが増え、一般消費者の不満が高まっています。
転売は市場の歪みを引き起こすことがあります。転売目的で商品が大量に購入されると、供給が一時的に不足し、価格が不当に高騰することになります。これにより、市場の正常な価格形成が妨げられ、消費者やメーカーにとって不利益が生じることがあります。
2025年には発売されたNintendo Switch 2が入手困難なうえ、次々と高額でフリマアプリに出品された事件が大きな注目を集めました。このような状況を受けて、2025年6月4日にはLINEヤフーがYahoo!オークションおよびYahoo!フリマにおいて、悪質な転売行為への対策を強化する方針を打ち出しました。発売直後の商品や供給が不安定な物品について独自の判断で出品禁止措置を講じるとし、AIを活用した出品監視や類似画像の自動検出、不審アカウントの排除などの技術的対応も進めています。
また、2025年5月下旬には政府備蓄米の民間販売が注目される中、ヤフオク・メルカリ・ラクマなど大手フリマサイト・オークションサイトが備蓄米の出品禁止を発表しました。
コストコ転売を合法的に行うためのポイント
コストコ転売を適法に行うためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
まず、必要な許認可を取得することが重要です。食品を販売する場合は食品衛生法に基づく営業許可、中古品を扱う場合は古物商許可など、扱う商品に応じた許認可を取得しなければなりません。
次に、確定申告を適切に行うことです。副業でも年間20万円以上の利益がある場合は確定申告が必要となります。本業の場合は48万円以上で確定申告が必要です。
また、転売禁止商品を把握することも欠かせません。国民生活安定緊急措置法により転売が規制される商品(2025年6月以降の米穀など)や、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットなどは、転売すると罰則の対象となります。
プラットフォームの規約を遵守することも重要です。Amazon、メルカリなど各プラットフォームの規約を確認し、無在庫転売や禁止商品の出品を避ける必要があります。
さらに、商標の適正使用を心がけることが求められます。「コストコ公認」などの誤解を招く表現は避け、コストコの商標ガイドラインに従うことが大切です。
まとめ
コストコ転売自体は基本的に合法であり、適切なルールを守れば問題なく事業として行うことができます。しかし、必要な許認可の取得、税務申告、商標の適正使用、各プラットフォームの規約遵守など、守るべきルールは多岐にわたります。
特に2025年6月以降は米穀の転売が規制対象となり、同年9月には全国初の摘発事例も発生しました。今後も新たな規制が導入される可能性があるため、最新の法令や規制動向を常にチェックすることが重要です。
転売行為が社会問題化している現状を踏まえ、買い占めや極端な価格つり上げなど、社会的批判を受けやすい行為は避けるべきです。持続可能なビジネスとして転売事業を行うためには、法令遵守はもちろん、社会的責任も意識した事業運営が求められます。コストコ転売を検討している方は、本記事で紹介した違法となるケースや罰則内容を十分に理解した上で、リスクを最小限に抑えながらビジネスを展開していくことをおすすめします。

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