NTTドコモの3Gサービス「FOMA」と「iモード」は、2026年3月31日(火曜日)をもって終了します。この日を過ぎると、FOMA契約の携帯電話やiモード対応端末では、音声通話やデータ通信が一切利用できなくなります。サービス終了に伴い、ユーザー側で手続きを行わなかった場合は契約が自動解約となり、長年使用してきた電話番号やドコモメールアドレスも失効してしまうため、早めの対応が必要です。
本記事では、3Gガラケーの終了時期や影響を受ける端末の詳細、今からやるべき対応策について詳しく解説します。1999年にサービスを開始したiモードは、日本のモバイルインターネットの先駆けとして四半世紀以上にわたり多くのユーザーに親しまれてきました。絵文字やケータイ小説といった独自の文化を生み出し、現在のスマートフォン社会の礎を築いたこのサービスが、いよいよ終幕を迎えようとしています。FOMA端末やiモード機をお使いの方はもちろん、一部の古いスマートフォンをお使いの方も対象となる可能性があるため、ぜひ最後までお読みください。

3GガラケーとFOMA・iモードのサービス終了時期
NTTドコモは、第3世代移動通信方式である「FOMA(フォーマ)」および携帯電話向けインターネットサービス「iモード」を、2026年3月31日に終了することを公式に発表しています。翌4月1日からは、FOMA契約の携帯電話端末において音声通話およびデータ通信が物理的に利用不可能となります。
FOMA・iモード終了の確定スケジュール
FOMAおよびiモードのサービス終了日は2026年3月31日と確定しており、これは決定事項として変更されることはありません。この日を境に、FOMA専用端末やiモード機能のみで契約しているユーザーは、携帯電話としての機能を完全に失うことになります。
特に重要なのは、ユーザーが自主的にプラン変更や解約手続きを行わなかった場合、契約が自動的に解除されるという点です。これにより、長年愛用してきた電話番号や、ビジネスやプライベートで広く周知されているドコモのメールアドレス(@docomo.ne.jp)が、所有者の意思に関わらず永久に失効します。一度失効した電話番号の再取得は原則として不可能であり、この点がユーザーにとって最も大きなリスク要因となっています。
また、家族割引サービス「ファミリー割引」を利用している場合、影響は契約者本人にとどまりません。FOMA回線が割引グループの代表回線として設定されていた場合、その自動解約によってグループ全体が廃止され、家族全員の割引適用が解除されたり、請求体系が予期せぬ形で変更されたりする可能性があります。FOMAの終了は個人の問題を超え、家計や家族間の連絡網にも波及する複合的な課題を含んでいるのです。
iモードのサービス縮小の経緯
2026年の完全終了に先立ち、iモードは段階的にサービスを縮小してきました。iモードの新規受付は2019年9月30日に終了し、iモード公式サイトも2021年11月30日に閉鎖されました。かつて情報検索に不可欠だった「iモード検索」も2020年に終了しており、iモードはその機能を徐々に停止させながら、静かにその歴史的役割を終えようとしています。
現在、FOMA端末から発信を行うと、通話開始前に「こちらはNTTドコモです。2026年3月31日のFOMAサービス終了により、ご利用中の携帯電話がお使いいただけなくなります」という特別な音声ガイダンスが流れる仕様になっています。このガイダンスは通話料が発生しない仕組みとなっており、画面を見る機会の少ないユーザーに対しても、聴覚的に直接期限を伝えるための措置です。
3G終了で影響を受ける端末とVoLTE問題
FOMAの終了は「ガラケーだけの問題」と思われがちですが、実は一部の4G対応スマートフォンも影響を受けます。これは「VoLTE(ボルテ)」という技術に対応しているかどうかが鍵となっています。
VoLTEとは何か
VoLTE(Voice over LTE)とは、LTEのデータ通信回線を使って高音質な音声通話を行う技術です。4G(LTE)が普及し始めた初期の頃、多くのスマートフォンはデータ通信にはLTEを使用しつつ、音声通話には従来の3G(FOMA)回線を使用する「CSフォールバック」という仕組みを採用していました。
このため、VoLTEに対応していない端末や、設定でVoLTEがOFFになっている端末は、3Gの停波と同時に音声通話の手段を失います。データ通信は引き続き利用できる場合もありますが、電話機能が使えないスマートフォンは緊急通報(110番や119番)もできないため、実質的に携帯電話としての役割を果たせなくなります。
VoLTE非対応で通話できなくなる主な機種
ドコモが公開しているリストに基づき、2026年3月31日以降に音声通話が利用できなくなる主な機種を紹介します。
iPhoneシリーズについては、iPhone 5sおよびiPhone 5cが該当します。これらはLTEデータ通信には対応していますが、音声通話に3Gを利用する仕様であるため、通話が不可能となります。iPhone 6以降の機種はVoLTEに対応していますが、設定で「VoLTE」をオンにする必要があります。
Androidスマートフォンについては、2014年夏以前に発売された多くの機種が該当します。世界的なベストセラーであったGALAXY S4 SC-04E、人気の高かったXperia Z1 SO-01FやXperia A SO-04Eなどは、VoLTE非対応のため通話ができなくなります。
また、2014年夏モデルとして発売されたGALAXY S5 SC-04F、Xperia Z2 SO-03F、AQUOS ZETA SH-04F、ARROWS NX F-05Fなどは、発売当初はVoLTEに対応していませんでしたが、後のソフトウェアアップデートによって対応が可能になりました。これらの機種を使用している場合、最新のソフトウェアに更新していないと、ハードウェアとしては対応能力がありながら通話不能になる可能性があります。
FOMAプラスエリア非対応機種の問題
2026年の完全終了を待たずして、既に一部のエリアで圏外となる現象が発生しています。FOMAプラスエリアとは、山間部や地方などで広くエリアをカバーするために使われている800MHz帯の周波数です。ドコモは2022年1月から、周波数の利用効率化のためにこのFOMAプラスエリアの設備を縮小・集約しています。
この影響により、2001年から2006年頃に発売された初期のFOMA端末(N2001、P2101V、N2002など)や、一部の海外製SIMフリー端末など「FOMAプラスエリア(Band 6/19)」に対応していない機種は、都市部であっても屋内や地下、郊外において電波をつかめず「圏外」となるケースが増加しています。
3Gサービス終了の技術的背景
なぜ、まだ使えるように見えるFOMAを終了させなければならないのでしょうか。その最大の理由は、電波(周波数帯)という有限な公共資源の有効活用にあります。
データ通信のトラフィック(通信量)が指数関数的に増大する現代において、通信速度が遅く周波数利用効率の低い3G方式に割り当てている電波を、より高速で大容量通信が可能な4G(LTE)や5Gに転用することで、通信ネットワーク全体の品質を向上させる狙いがあります。これは技術の世代交代として避けられない流れであり、限られた電波資源を最大限に活用するための必然的な判断といえます。
社会インフラへの深刻な影響
FOMAの終了は、個人の携帯電話の買い替え問題にとどまりません。私たちの生活を支える目に見えないインフラ機器(M2M/IoT機器)の多くが、通信モジュールとしてFOMAを採用しており、その対応が急務となっています。
自動販売機とコインパーキングへの影響
街中の至る所に設置されている自動販売機は、在庫情報の管理や売上データの送信、電子マネー決済の通信にFOMA回線を利用しているものが依然として数多く残存しています。また、コインパーキング(時間貸し駐車場)の精算機や、満車・空車情報の送信システム、クレジットカード決済端末なども同様です。
これらの機器がFOMA終了期限までに4G/5G対応の通信モジュールに交換されない場合、在庫切れ商品の補充が遅れる、キャッシュレス決済が利用できなくなる、満空情報が更新されなくなるといったトラブルが発生し、利便性が著しく低下する恐れがあります。
エレベーター監視システムと太陽光発電への影響
さらに人命や財産に関わる深刻な影響も懸念されています。ビルのエレベーターに設置されている遠隔監視システムや、万が一の閉じ込め事故の際に外部と通話するためのインターホン回線として、3G回線が広く利用されています。これが停止すると、エレベーターの安全管理に支障をきたす可能性があります。
再生可能エネルギーの分野でも問題が浮上しています。太陽光発電所の遠隔監視システム(パワーコンディショナの制御装置など)において、発電データの送信や電力会社からの出力制御指令の受信に3G回線が使われているケースがあります。これが機能しなくなると、売電ができなくなったり、電力需給バランスの調整ができずに停電のリスクを高めたりする可能性があります。
現在、これらの産業用機器の交換需要(特需)が発生しており、機器の在庫不足や交換工事を行う技術者の不足が懸念されています。3G停波は社会インフラの維持管理における「2026年問題」として、関係各所での対応が急ピッチで進められています。
iモードが築いたモバイルインターネットの革命
2026年3月31日に終了するiモードは、単なる通信サービスではありませんでした。1999年から四半世紀以上にわたって日本のデジタル文化を支え、世界に影響を与えた「モバイルインターネット革命」の立役者だったのです。
1999年2月22日に始まったモバイル革命
iモードのサービスが開始されたのは、1999年2月22日のことでした。当時のインターネット環境は、家庭での接続は電話回線やISDNを利用したダイヤルアップ接続が主流であり、パソコンを起動してモデムが独特の接続音を奏でるのを待つ必要がありました。インターネットは「座って、時間をかけて行うもの」だったのです。
その常識を覆したのがiモードでした。「携帯電話のボタンひとつで、いつでもどこでもインターネットに繋がる」というシンプルかつ画期的なコンセプトは、日本人のライフスタイルを根本から変革しました。開発の中心人物の一人であり、後に「iモードの父」と呼ばれることになるNTTドコモ(当時)の栗田穣崇氏らは、音声通話に特化していた携帯電話を、データ通信を通じた総合的なコミュニケーションツールへと進化させることを目指しました。
当時のiモード端末の画面はモノクロで解像度も低く、表示できる文字数も全角数文字程度に限られていました。しかし、その制約こそが逆に「手軽さ」という最大の武器を生み出しました。複雑なHTMLではなく簡易的なCompact HTMLを採用したことで、ウェブサイトの読み込みは当時の水準としては高速であり、ニュース、天気予報、着信メロディのダウンロードといったコンテンツが爆発的に普及しました。
絵文字(Emoji)の誕生と世界への普及
iモード文化を語る上で欠かせないのが「絵文字(Emoji)」の発明です。1999年のサービス開始時、栗田氏は12×12ドットという極めて限られたピクセル数の中で、感情や状況を直感的に伝えるための視覚言語として絵文字を開発しました。
この開発のヒントとなったのは、当時若者の間で絶大な人気を誇っていたポケットベル(ポケベル)の「ハートマーク」でした。栗田氏は、テキストだけのメッセージでは感情のニュアンスが伝わりにくく、時に冷たい印象を与えてしまうことに着目しました。文末にハートマークが一つあるだけで、メッセージ全体の意味がポジティブに変化する。この「非言語的な感情情報の伝達」をデジタルテキストに持ち込んだのが絵文字でした。
iモードの絵文字は、天気(晴れ、雨)、乗り物(電車、飛行機)、そして様々な表情(笑顔、泣き顔)など、全176種類からスタートしました。これは単なるアイコンではなく、文字入力の一部としてシームレスに使用できる点が革新的でした。その後、他社キャリアも追随し、カラー化やアニメーション化(動く絵文字)を経て、メール画面全体を装飾する「デコメール(デコメ)」文化へと進化しました。
現在、この「Emoji」はUnicodeに収録され、iPhoneやAndroidスマートフォンを通じて世界中の人々が日常的に使用する共通言語となっています。iモードというプラットフォームが消滅しても、そこから生まれた絵文字という文化遺伝子は、世界のコミュニケーションの中に深く刻まれ、生き続けています。
センター問い合わせという青春の儀式
iモード世代のユーザーにとって、最もノスタルジーを喚起する機能の一つが「センター問い合わせ」です。これは、iモードメール専用サーバー(センター)に蓄積されている未受信メールがないかを手動で確認する機能でした。
当時、電波状態が不安定な場所やセンターの混雑時などには、メールが端末に届かないことがありました。好きな人からの返信を待つ若者たちは、携帯電話を握りしめ、祈るような気持ちで「センター問い合わせ」のボタンを押しました。「メールはありません」という表示が出たときの落胆、あるいは「メール受信中」のアニメーションが表示されたときの高揚感。この一連の動作は、当時の恋愛や友情における象徴的な儀式でした。
また、iモードメールのシステムでは、返信を行うと件名に自動的に「Re:」が付与されました。メールのラリーが続くと、件名は「Re:Re:Re:Re:…」と埋め尽くされていきました。件名の文字数制限で本来のタイトルが見えなくなるほど「Re:」が重なることは、相手との会話が長く続いていることの証であり、親密さのバロメーターでもありました。
魔法のiらんどとケータイ小説の隆盛
iモードの普及は、プロではない一般ユーザーによるコンテンツ創作の爆発的なブームを引き起こしました。その象徴が、1999年にサービスを開始した無料ホームページ作成サービス「魔法のiらんど」です。
当時、ウェブサイトの作成にはHTMLの知識やパソコンが必要でしたが、「魔法のiらんど」は携帯電話のボタン操作だけで、誰でも簡単に自分の「ホムペ(ホームページ)」を持つことを可能にしました。最盛期の2004年から2007年頃には、会員数が700万人を突破し、月間ページビューは数十億に達しました。女子中高生の間では、自分のiらんどのURLを教え合うことが名刺交換代わりの挨拶となり、クラス内でのステータスの一部となりました。
このプラットフォームから生まれたのが「ケータイ小説」です。小さな携帯電話の画面で読み書きすることに最適化されたこの新しい文学形式は、横書き、短いセンテンス、多用される改行や空白といった独特の文体を生み出しました。『恋空』や『teddy bear』、『Deep Love』といった作品は、中高生のリアルな感情や過酷な現実を描き、爆発的なヒットを記録しました。これらの作品は書籍化されてベストセラーとなり、さらには映画化やドラマ化されるなど、社会現象を巻き起こしました。
「魔法のiらんど」は、iモード文化の成熟とともに成長しましたが、スマートフォンの普及とともにその役割を変え、2020年にはフィーチャーフォン向けのサービスを終了しました。そして、2025年3月31日には単独サービスとしての歴史に幕を閉じ、KADOKAWAの小説投稿サイト「カクヨム」へと統合されました。FOMAの終了とほぼ時を同じくして、iモードが生んだ最大のカルチャー拠点もその姿を変えたのです。
ソーシャルゲームと課金モデルの確立
2000年代後半になると、iモード上でのエンターテインメントはさらに進化し、ソーシャルゲームの時代が到来しました。「釣り★スタ」や「怪盗ロワイヤル」といったタイトルは、携帯電話で手軽に遊べるゲームとして爆発的に普及しました。
特にDeNAが運営する「モバゲー(Mobage)」やGREEといったプラットフォームは、基本プレイ無料に加え、ゲーム内アイテムを購入する「アイテム課金」というビジネスモデルを確立しました。「怪盗ロワイヤル」では、ユーザー同士が協力してミッションをクリアしたり、逆に対戦して宝物を奪い合ったりする「ソーシャル(社会的)」な要素が導入されました。これにより、携帯電話は単なる通信機器から、常時接続された巨大なゲーム機へと変貌を遂げました。
ガラケー端末の技術的進化の歴史
日本の携帯電話は、世界の潮流とは異なる独自の進化を遂げたことから「ガラパゴスケータイ(ガラケー)」と称されますが、その進化の過程で生み出された端末は技術とアイデアの結晶であり、世界に類を見ない高機能を実現していました。
905iシリーズが示した全部入りの完成形
FOMAの歴史において、ひとつの技術的到達点とされるのが、2007年冬に発表された「905i」シリーズです。このシリーズは、それまで機種ごとに異なっていた機能を統一し、ほぼ全てのラインナップにおいて「全部入り」を実現した画期的なシリーズでした。
具体的には、3Gの高速通信規格であるHSDPA(FOMAハイスピード)、海外でもそのまま使える国際ローミング(GSM/3G)、高精細なワイドVGA液晶、そしてワンセグ(モバイルテレビ放送)機能が標準搭載されました。さらに、GPSを利用した「地図アプリ」や、音声を認識して翻訳する「しゃべって翻訳」、緊急地震速報を受信する「エリアメール」といった、現在のスマートフォンでも標準的とされる機能の多くが、この時点で実装されていました。
ラインナップも豪華絢爛で、日本の家電メーカーの技術力が結集していました。ソニーのデジカメブランドを冠したSO905iCS(Cyber-shotケータイ)は、光学ズームや高輝度フラッシュ、5.1メガピクセルセンサーを搭載したカメラ特化モデルでした。パナソニックのテレビブランドを冠したP905i(VIERAケータイ)は、縦にも横にも開く「Wオープンスタイル」を採用し、ワンセグ視聴やゲームプレイに特化したギミックでシリーズ屈指の人気を誇りました。シャープの液晶技術を注ぎ込んだSH905iTV(AQUOSケータイ)やNEC製の多機能モデルN905iも、それぞれ独自の魅力を持っていました。
変態端末と呼ばれたユニークな機種たち
FOMA全盛期には、メーカーが他社との差別化を図るため、極めてユニークなギミックを持つ端末、通称「変態端末」も数多く登場しました。これらは現在の均質化した板状のスマートフォンでは考えられないような独創性を持っていました。
その筆頭が、富士通(現FCNT)が2010年に発売したF-04Bです。この端末は「セパレートケータイ」と呼ばれ、ディスプレイ部分とキーボード部分が物理的に分離する構造を持っていました。分離したキーボードはBluetoothでディスプレイ部と接続され、遠隔操作のリモコンとして使ったり、QWERTYキーボードとして長文メールの入力に使ったりすることが可能でした。さらに、キーボードユニットを外したディスプレイ部には、別売りのプロジェクターユニットを合体させることができ、携帯電話の画面を壁に投影できるというSF的な機能も備えていました。
また、シャープのSH-06Cは、携帯電話本体に小型プロジェクターを内蔵した「プロジェクターケータイ」でした。別途ユニットを装着することなく、サイドキーを押すだけでiモードの画面やワンセグ、撮影した写真や動画を大画面で投影できました。携帯電話にプロジェクターを内蔵するという技術的偉業は、ガラケー時代の技術競争の激しさを象徴しています。
おサイフケータイの衝撃と社会インフラ化
2004年、iモードにソニーの非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」を搭載した「iモードFeliCa」、通称「おサイフケータイ」が登場しました。これは、携帯電話を財布代わりにするという、当時としては世界に先駆けた革命的なサービスでした。
当初の対応機種である「SO506iC」「P506iC」「SH506iC」「F900iC」などは、発売からわずか半年で累計100万台を突破する勢いで普及しました。コンビニでの支払い、駅の改札通過(モバイルSuica)、飛行機の搭乗、会員証としての利用など、携帯電話が単なる通信機器を超え、生活インフラの一部となる決定的な転機でした。現在のスマートフォンにおけるモバイル決済(Apple PayやGoogle Pay)の原点は、この時期の日本で確立されたものです。
FOMA終了に向けたユーザー移行ガイド
2026年3月31日までにはまだ時間があるように思えますが、直前になって慌てないため、あるいは不利益を被らないために、今から準備を進める必要があります。
所有端末の正確な現状確認方法
まず、ご自身やご家族(特に高齢の親族)が使用している携帯電話が、「FOMAのみ対応」なのか、「VoLTE対応の4G機」なのかを正確に把握する必要があります。
ガラケー(iモード機)については、ほぼ全ての機種が対象となるため機種変更が必須です。らくらくホンについては、「らくらくホン F-02J」(2016年発売)以降のモデルであればVoLTEに対応しており、そのまま使用可能です。しかし、それ以前のモデル、例えば「らくらくホン8 F-08F」などは3G専用またはVoLTE非対応のため、サービス終了とともに使用できなくなります。
スマートフォンについては、画面上のアンテナ表示が普段「LTE」や「4G」となっていても安心はできません。誰かに電話をかけた瞬間に表示が「3G」や「H」に切り替わる場合、その端末は音声通話に3Gを使用しています。設定画面から「VoLTE」がONになっているか、あるいは端末自体がVoLTEに対応しているかを再確認する必要があります。
データ移行とデジタル遺産の保護
機種変更の際、最大のハードルとなるのがデータの移行です。電話帳や写真はSDカードやドコモショップの専用機器(ドココピーなど)を使って移行できる場合が多いですが、iモード時代特有のデータは失われる可能性が高いです。
特に、iモードメールの送受信履歴や、デコメ素材、iモードサイトで購入した着信メロディなどのコンテンツは、スマートフォンへ引き継げないものがほとんどです。長年撮りためた低解像度の写真や、保護してある大切なメール(「Re:」が連なる思い出のメールなど)は、画面メモとして保存するか、画面を直接撮影してデジタルアーカイブ化するなど、個人の手で「思い出のバックアップ」を行う必要があります。
機種変更キャンペーンと代替プランの活用
ドコモはFOMAユーザーの移行を強力に推進するため、様々な優遇キャンペーンを展開しています。「はじめてスマホ割」や、時期によって名称が変わる各種ファイナルキャンペーンを利用すれば、最新のスマートフォンや、ガラケーと同じ使い勝手を持つ4G対応ケータイ(ガラホ)へ、実質0円や大幅な割引価格で機種変更できる場合があります。
特に、スマートフォンのタッチ操作に不安がある高齢者向けには、「らくらくスマートフォン」シリーズへの乗り換えが推奨されており、全国のドコモショップで「スマホ教室」などが開催されています。また、「物理ボタンがないと不安だ」というユーザー向けには、Androidをベースにしつつ従来のテンキー操作を踏襲した4Gケータイ(arrows ケータイなど)が用意されています。これらを選択すれば、操作感を大きく変えずにLINEなどの新しいコミュニケーションツールを利用可能になります。
先行キャリアの3G終了から学ぶ教訓
ドコモは大手3キャリアの中で最も遅く3Gサービスを終了しますが、先行して終了したau(KDDI)とソフトバンクの事例は、ドコモユーザーにとっても重要な教訓となります。
ソフトバンクの3G終了時に発生したトラブル
ソフトバンクは2024年4月15日(石川県を除く)に3Gサービスを終了しましたが、その際、VoLTE対応のスマートフォンを使用していても、設定不備により「圏外」となり通信・通話ができなくなるトラブルが多発しました。
原因の一つは、APN(アクセスポイント名)設定でした。古いSIMカードや設定を引き継いでいたユーザーの端末において、ネットワークへの接続認証を3Gで行う設定(APNタイプ設定など)が残っていたため、3G停波と同時に4Gネットワークへの接続もできなくなってしまったのです。また、SIMカード自体のバージョンが古く、VoLTEに対応していないという物理的な問題もありました。この事例から、ドコモユーザーも単に「スマホだから大丈夫」と過信せず、SIMカードの交換やAPN設定の見直しが必要になる可能性を考慮すべきです。
auの3G終了時の混乱と消費者トラブル
auは2022年3月に3G(CDMA 1X WIN)サービスを終了しました。この際も、周知が行き届かず、終了日当日になって「電話が繋がらない」とショップに駆け込む高齢者が相次ぎました。また、駆け込み需要に乗じた一部の販売店において、高齢者に対して不必要な高額プランやオプションサービス、高価なSDカードなどを契約させる消費者トラブルも報告されました。
ドコモの終了時にも、同様に窓口の混雑や混乱が予想されます。2026年3月の直前になって慌ててショップに行くと、希望の機種が在庫切れで選べなかったり、長時間待たされたりする可能性があります。余裕を持ったスケジュールでの行動が、自身や家族をトラブルから守る最善の策です。
まとめ:iモード時代への感謝と新しい通信の時代へ
2026年3月31日、FOMAとiモードのシグナルが途絶えるその瞬間、日本が世界に誇った巨大な文化遺産が歴史の彼方へと去っていきます。iモードは、インターネットを「机の上」から「手のひら」へと解放した革命的な存在でした。親指ひとつで繋がるコミュニケーション、12ドットの絵文字に込められた感情、センター問い合わせのドキドキ感、そして魔法のiらんどで綴られた無数の物語。これらは全て、今のスマートフォン社会、そしてSNS全盛時代の礎となっています。
インターネット上の反応を見ると、「青春そのものだった」「初めて持った携帯がiモードだった」「寂しいけれど、ありがとう」といった、サービス終了を惜しむ声と共に感謝の言葉が溢れています。
iモードというサービスは終了しますが、私たちがiモードを通じて手にした「いつでも、どこでも、誰かと繋がれる」という価値観は消えることはありません。むしろ、5Gやその先の6Gへと進化していく通信技術の中で、iモードが遺した「技術を人の心に寄り添わせる」という精神は、デジタル化が進む現代においてより一層の重要性を帯びています。
FOMA端末やiモード機をお使いの方は、この終了を単なる事務的な「契約変更手続き」として処理するのではなく、引き出しの奥に眠るかつての愛機を手に取り、あの頃の思い出を振り返る「卒業式」として迎えてみてはいかがでしょうか。そして、確実な移行手続きを行い、新しい通信の時代へとスムーズに歩みを進めてください。長い間、私たちの生活を支え、彩り、繋ぎ続けてくれたFOMAとiモードに、心からの感謝を込めて。

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