初めての確定申告でも安心!住宅ローン控除の初年度手続き完全マニュアル

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住宅ローンを組んでマイホームを購入すると適用できる「住宅ローン控除」。特に初年度は確定申告が必要となり、多くの方が「初めての確定申告」に不安を感じています。この記事では、会社員が住宅ローン控除を受けるための初年度の確定申告について、わかりやすく解説します。

住宅ローン控除とは?控除額や期間はどのくらい?

住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入したり、特定の改修工事をしたりした場合に、毎年の年末ローン残高の0.7%に相当する金額が所得税から控除される制度です。

控除期間は住宅の種類によって異なります:

  • 新築住宅・買取再販住宅:13年間
  • 中古住宅・リフォーム:10年間

控除を受けるためには、以下の主な条件を満たす必要があります:

  • 自ら居住するための住宅であること
  • 床面積が50㎡以上であること(年収1,000万円以下の場合は40㎡以上)
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 取得や工事完了後6ヶ月以内に入居していること

2024年以降に入居する新築・買取再販住宅については、原則として省エネ基準に適合している住宅のみが控除の対象となります。住宅の性能によって控除の上限額が異なり、最も性能の高い認定長期優良住宅や低炭素住宅の場合は借入限度額が4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円)になります。

控除額の計算例: 年末時点のローン残高が3,000万円の場合 3,000万円 × 0.7% = 21万円が所得税から控除

所得税から控除しきれない分は、一定の金額まで住民税からも控除されます。

初年度の確定申告はいつまでに?必要書類と入手方法は?

住宅ローン控除の初年度は、会社員の方も必ず確定申告が必要です。確定申告の期間は例年2月16日から3月15日までですが、2025年は2月17日(月)から3月17日(月)までとなっています。

初年度の確定申告に必要な主な書類と入手方法は以下のとおりです:

必要書類入手先入手時期・方法
確定申告書国税庁サイト・税務署確定申告期間前に入手
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書国税庁サイト・税務署確定申告期間前に入手
本人確認書類の写しマイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード+運転免許証等
源泉徴収票勤務先年末調整後に交付
住宅ローンの年末残高等証明書金融機関10月〜1月頃に送付(金融機関により異なる)
建物・土地の登記事項証明書法務局窓口またはオンラインで取得
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し売主(不動産会社)契約時に受け取ったもの
住宅の区分に応じた証明書類不動産会社・建築会社など引き渡し時などに受け取る

住宅の種類(新築、中古、省エネ住宅など)によって、追加で必要な書類が異なります。例えば、省エネ住宅の場合は「住宅省エネルギー性能証明書」や「建設住宅性能評価書」などが必要になることがあります。

また、築古の耐震基準適合物件を購入した場合は、「耐震基準適合証明書」または「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」のいずれかが必要です。これらの証明書は物件の引き渡し前に取得する必要があるため、早めに不動産会社に相談することをおすすめします。

確定申告書と控除額計算明細書の正しい書き方は?

住宅ローン控除の確定申告では、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「確定申告書」の2種類の書類に記入する必要があります。以下に主要な記入箇所と記入方法を説明します。

住宅借入金等特別控除額の計算明細書

まずは「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」から作成します。

  1. 住所及び氏名: 住民票に記載されている住所と氏名を正確に記入
  2. 新築又は購入した家屋等に係る事項:
    • 居住開始年月日: 実際に住み始めた日付
    • 住宅の種類: 新築・中古などに応じた番号を記入
    • 取得対価の額: 契約書に記載された金額
    • 総(床)面積・居住部分の(床)面積: 登記事項証明書を参照
  3. 家屋や土地等の取得対価の額:
    • 持分に係る取得対価の額: 共有の場合は持分割合に応じた金額
  4. 居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高:
    • 年末残高等証明書の金額を記入
  5. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額:
    • 控除額を計算して記入(年末残高×0.7%)
  6. 控除証明書の交付を要しない場合:
    • 2年目以降も年末調整で控除を受ける場合は○をつけない

確定申告書

計算明細書で算出した控除額を確定申告書に転記します。

  1. 確定申告書第一表:
    • 「税金の計算」の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」欄に、計算明細書で計算した控除額を記入
  2. 確定申告書第二表:
    • 「特例適用条文等」欄に居住開始年月日と住宅の区分に応じた記号を記入

記入が複雑で不安な場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のウェブサイトを利用すると便利です。画面の案内に従って必要事項を入力するだけで、申告書類を作成することができます。

e-Taxでの申請方法と紙での提出方法の違いは?

住宅ローン控除の確定申告は、「e-Tax(電子申告)」と「紙での提出」の2つの方法があります。それぞれの特徴と手続き方法を紹介します。

e-Tax(電子申告)

メリット:

  • 24時間いつでも申告可能
  • 税務署に行く必要がない
  • 還付金の受け取りが早い(約1ヶ月程度)
  • 添付書類をPDFで提出可能

必要なもの:

  • パソコンまたはスマートフォン
  • インターネット環境
  • マイナンバーカード(または税務署発行のID・パスワード)
  • ICカードリーダー(スマホの場合は不要)

申請手順:

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. 画面の案内に従って必要事項を入力
  3. 住宅ローン控除関連の添付書類をスキャンしてPDFで添付
  4. マイナンバーカードで電子署名して送信

紙での提出方法

メリット:

  • パソコンなどの機器が不要
  • マイナンバーカードがなくても申請できる

申請方法:

  1. 税務署に直接持参:
    • 控えに収受印を押してもらえる(令和7年1月から収受印はなくなる予定)
    • 記入方法について相談できる
    • 確定申告期間中は混雑する
  2. 郵送で提出:
    • 最寄りの税務署宛に郵送
    • 控えが必要な場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封
    • 書類に不備があると再提出が必要になるため注意が必要

紙での提出に必要な書類:

  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 本人確認書類の写し
  • 各種証明書や契約書類の原本または写し

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、入力後に印刷して税務署に持参または郵送することもできます。

e-Taxでの申告は便利ですが、初めての方は事前にマイナンバーカードの取得やICカードリーダーの準備が必要です。紙での提出は特別な準備は不要ですが、還付金の受け取りまでに時間がかかる傾向があります。

住宅ローン控除の初年度申告を忘れたらどうなる?

住宅ローン控除の初年度の確定申告を期限内に行うことは大切ですが、万が一期限を過ぎてしまった場合でも、還付申告であれば5年以内なら申告することができます。

還付申告の期限

住宅ローン控除の確定申告は「還付申告」に該当するため、期限後でも申告が可能です。しかし、申告期限から5年を経過すると、時効により還付を受けることができなくなります。

: 2024年に入居した場合、原則として2025年2月17日~3月17日が確定申告期間ですが、申告を忘れても2030年3月15日までなら還付申告が可能です。

住民税の控除について

住宅ローン控除は、所得税で控除しきれない分は翌年度の住民税から控除されますが、住民税分の控除を受けるためには、住民税の納税通知書が発送される前(通常5月頃)までに確定申告を済ませる必要があります。

期限後に確定申告をした場合、所得税の還付は受けられても、住民税からの控除が受けられなくなる可能性があります。

過年度の還付申告の方法

過年度分の住宅ローン控除を申告する場合、通常の確定申告と同様の書類が必要です。ただし、申告する年度の様式を使用する必要があるため、国税庁のホームページや税務署で該当年度の申告書と計算明細書を入手しましょう。

注意点

  • 5年の還付申告期限を過ぎると、その年度分の控除は永久に受けられなくなります
  • 2年目以降の年末調整で控除を受けるためには、初年度の確定申告が必要です
  • 期限後申告をすると、還付金の受け取りに通常よりも時間がかかる場合があります

住宅ローン控除は長期間にわたって大きな節税効果がある制度です。うっかり申告を忘れてしまった場合でも、諦めずに還付申告を行いましょう。ただし、最初から期限内に申告するのがベストです。


住宅ローン控除の初年度の確定申告は、書類が多く複雑に思えるかもしれませんが、きちんと準備をすれば難しくありません。この記事を参考に、必要書類を揃えて期限内に申告を行い、節税のメリットを最大限に活用しましょう。

また、不明点があれば、最寄りの税務署や税理士に相談することをおすすめします。住宅ローン控除は長期間にわたって適用される重要な制度ですので、正確な手続きを心がけましょう。

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