睡眠の質は健康状態と密接に関わっており、特に腰痛に悩む方にとって、適切なマットレス選びは非常に重要です。マットレスショップに行くと必ず目にする「高反発」と「低反発」という言葉。どちらが腰痛持ちの方に適しているのでしょうか?多くの方がこの選択に迷っているのではないでしょうか。
本記事では、高反発と低反発マットレスの違いや特徴を詳しく解説し、腰痛対策に効果的なマットレスの選び方をご紹介します。毎日の睡眠が快適になり、腰痛の緩和につながるマットレス選びの参考にしていただければ幸いです。

腰痛持ちにおすすめなのは高反発と低反発どちらのマットレス?
結論から言うと、一般的に腰痛持ちの方には高反発マットレスがおすすめです。しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、すべての方に当てはまるわけではありません。
高反発マットレスは適度な反発力により腰をしっかりと支え、理想的な寝姿勢をキープしやすいという特徴があります。人間の背骨は自然なS字カーブを描いており、寝ている間もこのカーブを維持することが腰への負担を軽減するポイントです。高反発マットレスは腰部分が沈み込み過ぎず、このS字カーブをサポートしてくれます。
さらに、高反発マットレスは寝返りを打ちやすいという利点があります。健康的な睡眠では、一晩に約20回程度の寝返りを打つと言われています。寝返りをスムーズに打つことで、体の一部に負担が集中するのを防ぎ、血行促進にもつながります。
ただし、すべての腰痛持ちの方に高反発マットレスが合うわけではありません。例えば、反り腰の方は低反発マットレスの方が腰痛を感じにくい場合もあります。反り腰の場合、高反発マットレスを使用すると腰が浮いてしまい、かえって負担がかかることがあるのです。
低反発マットレスは腰痛を悪化させるって本当?
「低反発マットレスは腰痛を悪化させる」という意見を耳にすることがありますが、これは必ずしも正しいとは言えません。低反発マットレスが腰痛に与える影響は、腰痛の種類や個人の体格によって異なります。
低反発マットレスの特徴は、体重がかかった部分がゆっくりと沈み込み、体のラインに沿ってフィットする点です。このフィット感により、体圧を分散させる効果があります。特に痩せ型の方や体重が軽い方は、高反発マットレスだと体とマットレスの間に隙間ができてしまい、かえって腰に負担がかかることがあります。
低反発マットレスが腰痛に悪影響を与える可能性があるのは、主に以下のような場合です:
- 寝返りがしづらい: 低反発マットレスは体が沈み込むため、寝返りに余計な力が必要になります。寝返りが少なくなると、同じ姿勢で長時間過ごすことになり、血行不良や筋肉の緊張につながる可能性があります。
- 腰が沈み込み過ぎる: 体重が重い方が低反発マットレスを使用すると、腰部分が深く沈み込み過ぎて背骨のS字カーブが崩れ、腰に負担がかかることがあります。
- 通気性が悪い: 低反発マットレスは一般的に通気性が低く、湿気がこもりやすいという特徴があります。湿気による不快感から睡眠の質が低下し、結果的に腰痛が悪化する可能性があります。
しかし、これらの点に注意して適切な低反発マットレスを選べば、腰痛を悪化させることなく快適な睡眠を得ることができます。特に体重の軽い方や、横向き寝が多い方には低反発マットレスが合うケースもあります。
高反発マットレスが腰痛に良いと言われる理由は?
高反発マットレスが腰痛対策に効果的だと言われる理由には、いくつかの科学的根拠があります。
- 理想的な寝姿勢をサポート: 高反発マットレスは適度な反発力で体を支え、背骨の自然なS字カーブを維持します。腰が沈み込み過ぎず、かといって硬すぎて腰が浮いてしまうこともないため、筋肉への負担が少ない理想的な寝姿勢をキープできます。
- スムーズな寝返りをサポート: 高反発マットレスの反発力は寝返りをサポートします。寝返りが打ちやすいことで、体の一部に負担が集中するのを防ぎ、血行も促進されます。特に腰痛持ちの方は、寝返りがしづらいと痛みが増すことがあるため、スムーズに寝返りが打てる環境が重要です。
- 起き上がりやすい: 腰痛持ちの方にとって、ベッドから起き上がる動作も負担となります。高反発マットレスは体が沈み込みにくいため、起き上がる際の腰への負担が軽減されます。
- 長期的な耐久性: 一般的に高反発マットレスは低反発マットレスよりも耐久性が高いとされています。長期間使用しても形状が維持されやすく、へたりにくいため、長期的に見ても腰へのサポート力が持続します。
- 通気性が良い: 高反発マットレスは構造上、通気性に優れていることが多いです。特に高反発ウレタンマットレスは、低反発ウレタンに比べて通気性が良く、快適な睡眠環境を保ちやすいです。良質な睡眠は腰痛の改善にも寄与します。
ただし、高反発マットレスの中でも硬さや反発力には幅があります。自分の体格や好みに合った適切な硬さの高反発マットレスを選ぶことが、腰痛対策には重要です。
体格や体重によって選ぶべきマットレスは変わる?
マットレス選びでは、体格や体重は非常に重要な考慮要素です。同じマットレスでも、体格や体重によって感じる硬さや沈み込み具合は大きく異なります。
体重別のおすすめマットレス
- 55kg以下の方(小柄な女性など):
- 低反発または柔らかめの高反発マットレスがおすすめ
- 硬すぎるマットレスだと体とマットレスの間に隙間ができ、サポート力が不足することがあります
- 目安となる硬さ: 75N(ニュートン)未満
- 55kg~70kgの方(平均的な体格):
- 中程度の反発力を持つマットレスがおすすめ
- 低反発でも高反発でも、中程度の硬さを選ぶのがポイント
- 目安となる硬さ: 75N~110N未満
- 70kg以上の方(大柄な方):
- 高反発マットレスがおすすめ
- 柔らかすぎるマットレスだと腰が沈み込み過ぎてしまう可能性があります
- 目安となる硬さ: 110N以上
- 100kg以上の方:
- かなり硬めの高反発マットレスを選ぶのがおすすめ
- 耐久性も重要な選択基準となります
- 目安となる硬さ: 200N程度
睡眠姿勢による違い
- 仰向け寝が多い方:
- 高反発マットレスが適している場合が多い
- 腰部分がしっかりサポートされることが重要
- 横向き寝が多い方:
- 肩や腰の部分が適度に沈み込むマットレスが適している
- 硬すぎると肩や腰に負担がかかるため、やや柔らかめのものを選ぶと良い
- 低反発マットレスやハイブリッド型(低反発+高反発)が向いていることも
- うつ伏せ寝が多い方:
- 腰への負担が大きい寝方なので、適度な硬さの高反発マットレスがおすすめ
- あまり柔らかいと腰が沈み込み過ぎて負担が増します
体格や睡眠姿勢に合ったマットレスを選ぶことで、腰痛の改善や予防につながります。自分の体に合ったマットレスを見つけるためには、実際に試してみることが一番確実な方法です。可能であれば、実店舗で試し寝をしたり、返品保証のあるマットレスを選んだりすることをおすすめします。
腰痛対策に効果的なマットレスの選び方のポイントは?
腰痛対策に効果的なマットレスを選ぶためのポイントをご紹介します。これらの要素を考慮して、自分に最適なマットレスを見つけましょう。
1. 体重に合ったかたさを選ぶ
マットレスのかたさは「N(ニュートン)」という単位で表されることが多く、体重に合わせて選ぶことが重要です。
- 75N未満:やわらかめ(低反発)- 体重50kg以下の方におすすめ
- 75N~110N未満:ふつう – 平均的な体格の方におすすめ
- 110N以上:かため(高反発)- 体重60kg以上の方におすすめ
- 200N程度:非常にかため – 体重100kg以上の方におすすめ
体重に合ったかたさのマットレスを選ぶことで、腰痛予防や改善につながります。
2. 反発力を確認する
似たようなかたさのマットレスで迷った場合は、反発力が高い方を選びましょう。反発力が高いマットレスは寝返りや起き上がりがスムーズで、腰への負担が少なくなります。
反発力の高さは「反発弾性率」で判断できます:
- 低反発ウレタン:15%未満
- 一般ウレタン:15~49%
- 高反発ウレタン:50%以上
高反発マットレスを選ぶ際は、商品ページや品質タグに「高弾性」「反発弾性率50%以上」といった表記があるものを選ぶと良いでしょう。
3. マットレスの厚みを考慮する
腰痛持ちの方は、起き上がる際の負担を軽減するために、ある程度の厚みがあるマットレスを選ぶことをおすすめします。低い位置から起き上がるのは腰に大きな負担がかかるためです。
さらに、ベッドフレームを使用することでより高さが出て、起き上がりの負担を軽減できます。ベッドフレームは通気性を良くする効果もあります。
4. 構造に注目する
マットレスの構造にも注目しましょう。特に以下の構造は腰痛対策に効果的です:
- センターハード構造:腰部分だけかために作られている構造で、腰をしっかり支えて寝返りが打ちやすくなります。肩回りはやわらかいためフィットしやすく、肩こり対策にも良い影響があります。
- ハイブリッド構造:低反発と高反発の両方の良さを取り入れたマットレスです。上層が低反発で下層が高反発という複数層構造になっており、高反発の弾力を受けつつも体にフィットしやすいという特徴があります。
5. 通気性を確認する
マットレスの通気性も重要な要素です。通気性が悪いと湿気がこもり、不快な睡眠環境になってしまいます。特に低反発マットレスは通気性が低い傾向があるため、通気性を高める工夫がされているかを確認しましょう。
高反発マットレスやコイルが内蔵されたマットレスは通気性に優れていることが多く、快適な睡眠環境を保ちやすいです。
6. 実際に試してみる
可能であれば、購入前に実際にマットレスに寝転がって試してみることをおすすめします。特に「腰が浮かない感覚」を実感することが重要です。
目視で腰が浮いていないように見えても、実際には腰部分がしっかり支えられていないこともあります。複数のマットレスを比較して、自分に合ったものを選びましょう。
ネット通販専門のマットレスの場合は、返品保証があるものを選んだり、実店舗で似たようなかたさのマットレスを試してから購入したりするのも良い方法です。
まとめ
腰痛対策に効果的なマットレス選びは、体格や睡眠姿勢、好みなど個人差が大きく影響します。一般的には高反発マットレスが腰痛持ちの方におすすめですが、自分に合ったマットレスを見つけることが最も重要です。
マットレスの硬さ、反発力、構造、通気性などを総合的に判断し、できれば実際に試してみることで、腰痛の改善や予防につながる最適なマットレスを見つけることができるでしょう。
良質な睡眠は健康の基盤です。特に腰痛に悩む方は、適切なマットレス選びが日々の生活の質を大きく向上させる可能性があります。ぜひ参考にして、自分に合ったマットレスを見つけてください。
コメント