2026年から段階的にスタートする防衛増税について、いつから始まるのか、所得税や住民税への影響、そして具体的な負担額がいくらになるのかを詳しく解説します。防衛特別法人税は2026年4月1日から開始が決定しており、たばこ税も同時期に増税されます。一方、所得税への防衛増税は当初2027年1月からの予定でしたが、103万円の壁引き上げの影響を考慮して実施時期が先送りされました。住民税については防衛増税の直接的な対象外となっています。具体的な負担額としては、法人税額1,000万円の企業で年間約20万円、所得税については年収500万円の会社員で年間約3,000円、年収1,000万円で年間約1万4,000円の追加負担が見込まれています。本記事では、2022年末に岸田政権下で決定された防衛費43兆円計画の全体像から、各税目の詳細な増税スケジュール、中小企業や個人への影響まで、最新の税制改正情報をもとに網羅的にお伝えします。

防衛増税の背景と全体像
防衛費43兆円が決定された経緯
岸田文雄首相は2022年12月5日、2023年度から5年間の防衛費の総額を43兆円とするよう指示しました。これは、それ以前の中期防衛力整備計画における5年総額27兆4700億円から5割以上の大幅増額となる方針転換でした。この決定の背景には、日本を取り巻く安全保障環境の急激な変化があります。中国の軍事力増強や北朝鮮による相次ぐミサイル開発、そして2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢の緊迫化を受けて、日本の防衛力を抜本的に強化する必要性が高まったことが主な理由として挙げられています。
防衛費43兆円の内訳を見ると、既定分として約5兆円、人件・糧食費に約11兆円、期間内歳出に約12兆円が配分されています。また、前中期防の契約に伴う支払いや2028年度以降の支払いなど期間外歳出として約5兆円が計上されており、新たに必要となる事業に係る契約額は約43.5兆円に達しています。2018年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画と比較すると、歳出総額は対前計画で15.5兆円増の1.6倍、契約額は対前計画で26.3兆円増の2.5倍と、いずれも大幅に増加しています。
財源確保のための措置
2027年度以降、防衛力を安定的に維持するための財源、および2023年度から2027年度までの計画を賄う財源の確保については、複数の措置が講じられることとなりました。まず歳出改革により既存予算の見直しを行い、決算剰余金の活用で余剰資金を防衛費に充てる方針です。さらに税外収入を活用した防衛力強化資金の創設が行われ、最終的な手段として法人税、所得税、たばこ税の3税を対象とした税制措置が実施されることになりました。
2023年度予算では、防衛費の財源を確保するため、自衛隊の隊舎などに初めて建設国債を使うことになりました。過去には海上保安庁の巡視船の調達に建設国債を使った例はあるものの、防衛費には充てていなかったという点で画期的な措置といえます。
円安による防衛費への影響
注意すべき点として、2027年度までの5年間で総額43兆円の防衛費は、ドル換算で計画策定時と比べて約3割「消失」したとされています。円相場が1ドルあたり最大50円ほど下落したことが原因で、防衛装備品の多くが海外から調達されるため、円安の影響で調達コストが上昇し、計画通りに進まない可能性が指摘されています。この為替リスクは、今後の防衛計画の見直しや追加的な財源確保の必要性につながる可能性があります。
防衛特別法人税の詳細
2026年4月からの開始が決定
防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることが決定しました。2年続けて開始時期の決定が先送りになっていた防衛力強化のための増税でしたが、法人税については2026年4月からの実施が正式に決まりました。令和6年12月20日に公表された「令和7年度税制改正大綱」において、防衛力強化のための税制措置を令和8年(2026年)から段階的に進めることが盛り込まれました。
税率と計算方法
防衛特別法人税の計算方法は、基準法人税額から500万円を控除した金額に4%を乗じるというものです。具体的な計算式は「防衛特別法人税=(基準法人税額-500万円)×4%」となります。課税標準法人税額は、基準法人税額から基礎控除額の年500万円を控除した金額であり、税率は4%に設定されています。法人税率は原則23.2%であるため、実質1%前後の負担増となる見込みです。
中小企業への配慮措置
中小法人については、課税所得2,400万円程度までは防衛特別法人税が課税されない見込みです。これは、中小法人への配慮の観点から、税額計算にあたっては課税標準となる法人税額から500万円の控除を行ったうえで4%を乗じる仕組みとなっているためです。
具体的に計算すると、中小企業者等の法人税の軽減税率15%が適用される場合、課税所得2,400万円の場合の法人税額は、800万円に15%を乗じた120万円と、1,600万円(2,400万円から800万円を引いた額)に23.2%を乗じた371.2万円の合計で約491万円となります。この491万円は基礎控除の500万円を下回るため、防衛特別法人税は発生しません。資本金1億円以下の中小企業の場合、課税所得2,440万円以上になると防衛特別法人税が発生する見込みです。
具体的な負担額の計算例
法人税額1,000万円の会社の場合、基礎控除500万円を差し引いた課税標準500万円に4%をかけて、年間20万円の負担増となります。法人税額400万円の会社の場合は、基礎控除の範囲内(500万円以下)であるため、課税標準は0となり、追加負担は発生しません。法人税額2,000万円の会社の場合は、基礎控除500万円を差し引いた課税標準1,500万円に4%をかけて、年間60万円の負担増となります。
申告手続きの変更点
防衛特別法人税については、法人税の確定申告と同時に申告を行う必要があります。2027年4月以降に開始する事業年度からは、中間申告も義務化されます。法人税の中間申告をする企業は、防衛特別法人税についても中間申告を行わなければなりません。重要な点として、防衛特別法人税は0円でも申告が必要となるため、別表一の提出枚数が2枚から3枚に増えることに注意が必要です。
法定実効税率への影響
防衛特別法人税の創設により、法定実効税率が変更されます。企業の税効果会計においては、この変更を適切に反映する必要があります。会計基準上、2025年3月期決算においても、防衛特別法人税の影響を考慮した税効果会計の処理が求められる場合があります。企業の経理担当者や税理士は、早めに対応策を検討しておくことが重要です。
防衛特別所得税の現状
当初の予定と先送りの経緯
政府の原案では、2027年1月から所得税額に1%を上乗せする「防衛特別所得税(仮称)」を新設する予定でした。これは、所得税額に対し税率1%の新たな付加税を課すものです。しかし、令和7年度税制改正大綱では、所得税の防衛増税は実施が先送りされました。大綱では「所得税については、令和5年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、いわゆる『103万円の壁』の引上げ等の影響も勘案しながら、引き続き検討する」とされています。
2027年1月の開始時期だったものが政府と与党の合意により延期された理由としては、「年収103万円の壁」の見直しといった状況を考慮したためです。2025年分から、所得税がかかり始める年収が103万円から160万円に引き上げられました。基礎控除と給与所得控除の改正により、「年収160万円の壁」が新たな所得税の課税最低ラインとなりました。この大幅な減税措置と防衛増税を同時に実施することは政治的に難しいと判断され、所得税の防衛増税は先送りされたとみられています。
復興特別所得税との調整
現在、所得税額に対して2.1%が追加課税されている復興特別所得税があります。防衛特別所得税の導入に際しては、復興特別所得税の税率を1%引き下げる(2.1%から1.1%へ)計画が示されていました。つまり、復興特別所得税は2.1%から1.1%へ1%減少し、防衛特別所得税は0%から1%へ1%増加するため、合計の付加税率は変わらず、導入直後は税率の面では負担増とはならない仕組みとなっています。
ただし、注意すべき点があります。復興特別所得税の課税期間は当初2037年12月31日までとされていましたが、防衛財源確保のために課税期間が延長される見込みです。また、防衛特別所得税の課税期間がどのくらい続くのかはまだ明確に決まっておらず、長期間続けば、結果的に税負担は増えることになります。復興特別所得税は東日本大震災からの復興財源に充てるため、2013年1月1日から2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税であり、税率は所得税額の2.1%で、25年間にわたり課税されることになっていました。
年収別の負担額シミュレーション
防衛特別所得税が導入された場合の負担額をシミュレーションすると、年収によって異なる影響が出ることがわかります。年収500万円の会社員の場合、課税所得は約300万円で税率10%が適用されます。通常の所得税は約30万円となり、防衛特別所得税として1%上乗せの3,000円が追加負担となります。年収700万円の会社員の場合は、課税所得が約450万円で税率20%が適用され、通常の所得税は約70万円、防衛特別所得税は7,000円の追加負担となります。年収1,000万円の会社員の場合は、課税所得が約700万円で税率20%が適用され、通常の所得税は約140万円、防衛特別所得税は1万4,000円の追加負担となります。
このように、収入が多いほど、防衛特別所得税の負担額も増えることがわかります。ただし、復興特別所得税との調整により、導入直後の実質的な負担増は限定的となる見込みです。
住民税への影響
住民税は直接の対象外
住民税については、防衛増税の直接的な対象とはなっていません。防衛費増額のための財源確保として増税が予定されているのは、法人税、所得税、たばこ税の3税であり、住民税の増税は含まれていません。これは、住民税が地方税であり、国の防衛費の財源として直接活用することが制度上難しいという事情もあります。
所得税改正との間接的な連動
ただし、住民税は前年の所得に対して課税されるため、所得税の制度改正があった場合、住民税にも間接的な影響が及ぶ可能性があります。具体的には、所得税の基礎控除が引き上げられた場合、住民税の基礎控除も連動して引き上げられることがあります。2025年からの103万円の壁引き上げに際しても、住民税については非課税ラインが100万円から110万円に引き上げられています。
現時点では、住民税に対する防衛増税は予定されていません。しかし、将来的に財源不足が生じた場合には、住民税への課税も検討される可能性は否定できません。今後の税制改正の動向を注視する必要があります。
たばこ税の段階的引き上げ
2026年からの増税スケジュール
たばこ税についても、2026年4月から増税が開始されます。これは法人税と同時期のスタートとなります。たばこ税の増税は、加熱式たばこへの課税方式見直しから始まり、その後たばこ全体への税率引き上げへと段階的に進められます。
加熱式たばこの課税方式見直し
まず、紙巻きたばこより税額が低い加熱式たばこについて、2026年4月と10月の2回に分けて増税し、紙巻きたばこと同水準に引き上げます。加熱式たばこは銘柄によって税額が異なり、1箱(20本)あたり計40円から90円程度の増税となる見込みです。
たばこ全体の税率引き上げ
その後、たばこ全体の税率が段階的に引き上げられます。2027年4月に1本あたり0.5円、2028年4月にさらに1本あたり0.5円、2029年4月にもう1本あたり0.5円の増税が行われます。3年間で1本あたり計1.5円、1箱(20本)あたり30円程度の増税となります。
政府・与党は当初、加熱式たばこの税額を引き上げた後、2027年度と2028年度の2年間で1本計2円程度増税する考えでした。しかし、加熱式たばこの販売が増えていることや、国内の葉タバコ農家らでつくる業界団体らの要望を受けて、引き上げ額やペースを遅らせました。たばこ税の増税により、喫煙者の負担は確実に増加します。特に加熱式たばこのユーザーにとっては、2026年の増税で大きな負担増となる可能性があります。一方で、たばこ税の増税は喫煙率の低下にもつながるとされており、健康政策の観点からは肯定的に評価する声もあります。
復興特別所得税の今後
復興特別所得税の概要
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興財源に充てるため、2013年1月1日から2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税です。税率は所得税額の2.1%で、25年間にわたり課税されます。
課税期間の延長
復興特別所得税の税率を引き下げる代わりに、課税期間を延長することで復興財源の総額を確保する方針です。延長期間については、「復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さ」とされています。現時点では具体的な延長期間は明示されていませんが、税率を半分近くに引き下げる代わりに、課税期間を相当程度延長する必要があると考えられます。
復興特別所得税の税率引き下げと防衛特別所得税の新設により、当面の税率は変わりません。しかし、復興特別所得税の課税期間が延長されるため、長期的には税負担が増加することになります。具体的には、本来2037年で終了するはずだった復興特別所得税(1.1%に引き下げ後)が、それ以降も継続することになり、その分が実質的な負担増となります。
令和7年度税制改正大綱の詳細
大綱決定の経緯
令和6年12月20日、自由民主党・公明党による「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。この大綱には「防衛力強化のための税制措置」を令和8年から段階的に進めることが盛り込まれました。令和5年度大綱では「令和6年以降適切な時期」としていた実施時期について、今回の大綱で具体的に定められたことになります。公表された「令和7年度税制改正大綱」は111ページの冊子で、「第二 令和7年度税制改正の具体的内容」の中に「六 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」が含まれています。
3党協議の経緯
令和7年度税制改正大綱の取りまとめに向けて、自民、公明、国民民主の3党による協議が行われました。2024年12月11日の3党の幹事長会談により、年収「103万円の壁」の引上げ等の合意で前進しました。自民党税制調査会の2024年12月12日の小委員会では、防衛特別法人税・所得税(仮称)の創設案が示されました。協議は紛糾したものの、2024年度補正予算案の賛意と引き換えに幹事長間で3党合意が結ばれました。しかしながら、その後の所得税の課税最低限の「引き上げ額」を巡って協議は決裂し、結果として自公案での取りまとめとなりました。
大綱では、わが国を取り巻く安全保障環境に鑑みれば、防衛力の抜本的強化、それに伴う防衛費を安定的に確保する必要があるとしています。今般の税制改正について、国民の理解を得るべく、与党として説明責任を果たしていくことは言うまでもないと明記されています。
防衛力強化の具体的内容
防衛費で整備される主要装備
防衛費43兆円で整備される装備のうち、代表的なものとしてイージス・システム搭載艦が挙げられます。防衛省は、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替措置として、SPY-7レーダーを搭載する1万2000トンの「イージスシステム搭載艦」2隻を建造します。2027年度末に1隻、2028年度末にもう1隻を就役させる予定です。
中谷元防衛相は2025年4月18日の記者会見で、イージス・システム搭載艦2隻の総経費が1兆9416億円になるとの試算を明らかにしました。建造費は約7800億円、燃料や補修といった維持整備費は約1兆700億円などとなっています。
搭載される主要兵装
イージス・システム搭載艦は、AWSベースラインJ7.Bを装備し、多機能レーダーはAN/SPY-7(V)1が採用されます。ミサイルとしては、弾道ミサイル防衛用のSM-3に加えて、極超音速滑空体(HGV)対処用のSM-6の搭載が予定されており、その発射機として128セルのVLS(垂直発射システム)が設置されます。また、トマホーク巡航ミサイルの搭載が予定されており、その運用に必要な戦術トマホーク指揮システム(TTWCS)は竣工時から搭載されます。12式地対艦誘導弾能力向上型(艦艇発射型)も実用化されれば搭載される予定です。
スタンド・オフ防衛能力の強化
外国製スタンド・オフ・ミサイルの早期取得とともに、国産スタンド・オフ・ミサイルの国内製造態勢の拡充が進められています。12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型・艦発型・空発型)の開発も進んでいます。イージス・システム搭載艦の整備では、HGV等にターミナル段階での対処能力を有するSM-6のほか、既存イージス艦と同等以上の各種戦能力・機動力を保持し、12式地対艦誘導弾能力向上型や対HGV迎撃ミサイルを含む将来装備を搭載できる拡張性が考慮されています。
今後のスケジュールと注意点
2026年の変更点
2026年4月からは、防衛特別法人税の開始(法人税額の4%、基礎控除500万円あり)とたばこ税の増税開始(加熱式たばこの1回目の引き上げ)が実施されます。2026年10月からは、たばこ税の追加増税(加熱式たばこの2回目の引き上げ)が行われます。
2027年以降の予定
2027年1月以降には、防衛特別所得税の開始(時期未定、検討中)と復興特別所得税の税率引き下げ(1%減)が予定されています。2027年4月からは、たばこ税の段階的引き上げ開始(1本0.5円)と防衛特別法人税の中間申告義務化が実施されます。2028年4月からはたばこ税の追加引き上げ(1本0.5円)、2029年4月からもたばこ税の追加引き上げ(1本0.5円)が予定されています。
企業が準備すべきこと
法人については、2026年4月以降の事業年度から防衛特別法人税の申告が必要となります。税効果会計への影響を考慮した決算処理、別表一の提出枚数の増加(2枚から3枚)への対応、2027年4月以降は中間申告も必要となることに注意が必要です。
個人が注意すべきこと
個人については、所得税の防衛増税は現時点で時期未定であること、103万円の壁引き上げにより2025年から減税効果があること、たばこを吸う人は2026年以降の値上げに備えること、住民税は直接的な影響がないことを把握しておく必要があります。
政治情勢の影響
防衛増税、特に所得税については、政治情勢によって実施時期が変わる可能性があります。自民党内でも参院選への悪影響を懸念する声があり、国民民主党は防衛増税に限らずすべての増税に強く反対しています。今後の選挙結果や政権の動向によっては、所得税の防衛増税がさらに先送りされる可能性もあります。
防衛増税に対する様々な意見
賛成派の意見
防衛増税に賛成する立場からは、安全保障環境の悪化に対応するため防衛力強化は必要不可欠であるという意見があります。将来世代に借金を残さないため、増税による財源確保は責任ある対応であるという声もあります。また、法人税の増税は中小企業に配慮した設計になっていること、所得税は復興特別所得税との調整により当面の負担増は限定的であることも指摘されています。
反対派の意見
一方、防衛増税に反対する立場からは、物価高で国民生活が厳しい中、増税は時期尚早であるという意見があります。防衛費43兆円の根拠が不明確であること、歳出削減や他の財源確保策を優先すべきであること、復興特別所得税の課税期間延長は実質的な増税であることなども指摘されています。
専門家の見解
税理士や経済専門家からは、法人税の増税は企業の国際競争力に影響する可能性があること、所得税の増税は消費に悪影響を与える懸念があること、防衛費の使途の透明性確保が重要であること、円安による防衛費の「目減り」への対応が必要であることなどが指摘されています。
よくある質問と回答
防衛増税はいつから始まりますか
法人税(防衛特別法人税)とたばこ税は2026年4月から開始されます。所得税(防衛特別所得税)については、当初2027年1月からの予定でしたが、103万円の壁引き上げの影響を考慮して時期未定となり、検討が続いています。
中小企業への影響はありますか
防衛特別法人税については、基礎控除500万円が設けられているため、法人税額が500万円以下の中小企業には影響がありません。具体的には、課税所得が約2,400万円以下の中小企業であれば、防衛特別法人税は発生しない見込みです。
会社員の負担額はどのくらいですか
防衛特別所得税が導入された場合、年収500万円の会社員で年間約3,000円、年収1,000万円で年間約1万4,000円の負担増となる見込みです。ただし、復興特別所得税が同時に1%引き下げられるため、導入直後の実質的な負担増は限定的となります。
住民税は増税されますか
住民税は防衛増税の直接的な対象ではありません。法人税、所得税、たばこ税の3税のみが増税対象となっています。
たばこはいくら値上がりしますか
加熱式たばこは2026年に1箱40円から90円程度の増税となります。紙巻きたばこを含むたばこ全体については、2027年から2029年にかけて段階的に1箱30円程度の増税となる予定です。
復興特別所得税はどうなりますか
復興特別所得税は、税率が2.1%から1.1%に引き下げられる代わりに、課税期間が延長される予定です。税率は下がりますが、課税期間が延びるため、長期的には税負担が増加することになります。
防衛増税は取りやめになる可能性はありますか
法人税とたばこ税については2026年4月からの実施が決定しており、取りやめになる可能性は低いとされています。所得税については時期未定であり、政治情勢によってはさらに先送りや見直しがあり得ます。
防衛と税負担のバランス
防衛増税は、日本の安全保障を強化するための重要な財源確保策です。一方で、物価高や賃金の伸び悩みなど、国民生活が厳しい状況にあることも事実です。政府・与党は、中小企業への配慮や復興特別所得税との調整など、負担増を抑える工夫を盛り込んでいます。しかし、長期的には税負担が増加することは避けられません。
2026年4月から始まる防衛特別法人税とたばこ税の増税、そして時期未定ながら検討が続く防衛特別所得税について、今後も税制改正の動向を注視していく必要があります。特に、所得税の防衛増税については、103万円の壁引き上げとの関係や、政治情勢の変化によって実施時期が左右される可能性があります。
税制は複雑であり、誤った情報に基づいて判断すると、思わぬ損失を被る可能性があります。本記事の情報は2025年11月時点のものであり、最新の税制改正情報については、国税庁や財務省の公式発表、または税理士等の専門家に確認することをお勧めします。企業経営者や個人事業主は、防衛特別法人税の影響を考慮した事業計画の見直しや、税効果会計への対応など、早めの準備が重要です。個人についても、所得税の動向を注視しつつ、家計への影響を把握しておくことが大切です。

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