資格確認書は申請不要!75歳以上へのマイナ保険証特例を詳しく解説

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75歳以上の方がマイナ保険証に移行する際には、申請不要で「資格確認書」が自動的に送付される特例措置が設けられています。この特例は2026年7月31日まで継続される予定であり、マイナ保険証を持っていない方はもちろん、すでに利用登録を済ませている方に対しても、資格確認書が届く仕組みとなっています。75歳以上の後期高齢者医療制度に加入する方々にとって、デジタル機器の操作に不安がある場合でも、従来と同様に紙の証明書で医療機関を受診できる環境が整備されているのです。

2024年12月2日に従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行が本格的に始まりました。しかし、すべての国民がすぐにデジタル対応できるわけではありません。特に75歳以上の高齢者層においては、顔認証システムへの適応や暗証番号の管理に困難を感じる方が少なくありません。こうした実情を踏まえ、政府は後期高齢者医療制度において手厚い経過措置を講じました。この記事では、75歳以上の方とそのご家族が知っておくべき資格確認書の特例措置について、制度の仕組みから具体的な手続き、2026年以降の見通しまで詳しく解説していきます。

マイナ保険証への移行で何が変わったのか

2024年12月2日をもって、長年使われてきた紙やプラスチック製の健康保険証は新規発行が終了しました。この制度改革は、政府が推進する「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」の中核をなす施策として位置づけられています。データに基づくより質の高い医療の提供、医療機関における事務負担の軽減、そして将来的な医療費の適正化を見据えた大規模なプロジェクトです。

しかし、この歴史的な転換は、すべての国民に等しくスムーズな移行をもたらしたわけではありません。特にデジタル機器の操作に不慣れな方々、とりわけ75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者にとって、物理的な「保険証」が手元からなくなることへの不安は大きなものでした。マイナンバーカードを持っていない方や、持っていても健康保険証として利用登録をしていない方が保険診療を受けられなくなる事態を避けるため、「資格確認書」という新たな公的証明書が導入されました。

資格確認書の基本的な機能と役割

資格確認書は、その機能において従来の健康保険証とほぼ同等の法的効力を持つ書類です。医療機関や薬局の窓口でこれを提示することで、被保険者は氏名、生年月日、被保険者番号、そして一部負担金の割合(1割、2割、3割)を証明し、従来通り保険診療を受けることが可能となります。形状については、多くの自治体で従来の保険証と同様のカードサイズ(台紙から切り離す形式)が採用されていますが、混乱を防ぐために色味を変更するなどの工夫が凝らされています。従来の保険証がオレンジ色であった地域では、新しい資格確認書には藤色や藍色が採用されるといった具合です。

資格確認書と資格情報のお知らせの違い

制度を正しく理解するために、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」という二つの書類の違いを明確にしておく必要があります。これらは名前が似ているため混同されやすいですが、その役割は根本的に異なります。

資格確認書は「保険証の代わり」として単体で機能する書類です。原則として、マイナ保険証を持っていない人に対して交付されます。この書類さえあれば、マイナンバーカードがなくても病院や薬局で保険診療を受けることができます。

一方、資格情報のお知らせは、マイナ保険証を持っている人に対して交付されるA4サイズ等の書類です。これはあくまで「あなたの保険情報は正しくマイナンバーカードに紐づいています」ということを通知するためのものであり、原則としてこれ単体で医療機関を受診することはできません。ただし、システム障害時など例外的な状況において、マイナ保険証とセットで提示することで資格確認を補完する機能は持っています。

つまり、本来の制度設計では、マイナ保険証を持っている人には「お知らせ」が届き、持っていない人には「確認書」が届くという原則が定められています。しかし、後期高齢者医療制度においては、この原則を大きく修正する「特例」が適用されているのです。

75歳以上に適用される特例措置の全容

75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度では、デジタル化への対応が困難な被保険者が多数を占めるという現実的な課題があります。そのため、国は当面の間、原則ルールを適用せず、高齢者の生活実態に配慮した特別対応を行っています。

申請不要のプッシュ型交付とは

この特例の最大の特徴は、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書が「申請不要」で送付されるという点にあります。行政用語でこれを「プッシュ型交付」と呼びます。

本来の制度設計では、マイナ保険証を持っている人が何らかの事情で紙の証明書を必要とする場合、自ら役所の窓口に出向き、解除申請や交付申請を行わなければなりません。しかし、75歳以上の高齢者に対して「不安なら申請してください」と求めることは、移動の負担や手続きの煩雑さを強いることになります。結果として無保険状態(資格確認ができない状態)を生み出すリスクがあることから、自治体(広域連合)側が職権で、対象者全員に対して自動的に資格確認書を作成し、特定記録郵便や簡易書留で自宅へ郵送する運用が採用されました。

2024年12月2日以降に新たに75歳になる方や、転入してきた方に対しても、マイナ保険証の登録有無を問わず、自動的に資格確認書が送付される仕組みです。これにより、高齢者は「デジタル手続きをしなければ医者にかかれない」というプレッシャーから解放され、従来通り「郵送されてきた紙」を持って病院へ行けばよいという環境が維持されています。

特例期間と2026年7月31日の期限

このプッシュ型交付は、あくまで制度移行期の混乱を避けるための「暫定的な運用」と位置付けられています。当初の計画ではもっと短い期間が設定される可能性もありましたが、現場の混乱や国民の不安を考慮し、期間の延長が決定されました。

現在の厚生労働省の方針に基づくと、この特例運用は2026年(令和8年)7月31日まで継続されることとなっています。この期間設定には明確な理由があります。多くの自治体における後期高齢者医療被保険者証の有効期限は、毎年「8月1日から翌年7月31日まで」の1年間です。

2024年12月2日の改正法施行時点で既に発行されていた紙の保険証は、その有効期限である2025年7月31日まで有効とされました。そして、その期限が切れた2025年8月の一斉更新のタイミングで、すべての被保険者に対して(マイナ保険証の有無を問わず)新しい「資格確認書」が交付されました。この資格確認書の有効期限が2026年7月31日まで設定されているため、実質的に2026年の夏までは、現行の紙保険証と同様の運用が保証されているのです。

つまり、現在75歳以上の方、およびこれから75歳になる方については、2026年7月末までは、デジタル対応を一切行わなくても、役所から送られてくる書類だけで医療を受けられるという強力なセーフティネットが張られていることになります。

75歳の誕生日を迎える方への対応

現在74歳で、国民健康保険や会社の健康保険(被用者保険)に加入している方が、75歳の誕生日を迎えて後期高齢者医療制度に移行する際にも、この特例措置が適用されます。通常、保険者が変わるタイミングでは、新たな保険証(またはマイナ保険証の登録確認)が必要となりますが、75歳になる方については、誕生日の前月下旬頃を目途に、お住まいの市区町村から資格確認書が郵送されます。

この際、本人がマイナ保険証の利用登録をしていてもいなくても関係ありません。自動的に送られてくるため、誕生日の当日からスムーズに後期高齢者医療制度での受診が可能となります。この仕組みにより、制度の切り替わり時期における「無保険の空白期間」の発生が防がれているのです。

限度額適用認定証との統合による手続き簡素化

今回の改革には、高齢者にとってメリットとなる「手続きの簡素化」も含まれています。それが、「資格確認書」と「限度額適用認定証」の一体化です。

従来の限度額適用認定証の仕組み

これまで、所得が一定以下の高齢者が医療費の窓口負担を上限額(自己負担限度額)までに抑えるためには、健康保険証とは別に「限度額適用認定証」や「標準負担額減額認定証」を役所に申請し、交付された紙の証を医療機関に提示する必要がありました。

マイナ保険証を利用する場合、本人が同意すれば、オンライン資格確認システムを通じて自動的に最新の限度額区分が医療機関に提供されるため、この認定証の提示自体が不要となります。これはマイナ保険証の明確なメリットとして政府も広報しています。しかし、紙の保険証が廃止されることに伴い、従来の紙の「認定証」も、2024年12月2日以降は原則として新規発行が終了しました。

資格確認書への適用区分記載

マイナ保険証を使わない高齢者への対応として導入されたのが、資格確認書の券面に限度額適用区分等の情報を直接印字するという運用です。これにより、資格確認書は従来の「保険証」と「認定証」の二役を兼ねることになりました。

2024年度中にすでに「限度額適用認定証」等の交付を受けていた方については、2025年夏の一斉更新時に送付された資格確認書に、申請不要で自動的に適用区分(「区分I」「区分II」など)が記載されています。また、新たに非課税世帯になった場合などで、初めて限度額の適用を受けたい場合は、初回のみ申請が必要ですが、一度申請すれば、その情報は資格確認書に記載され、一枚のカードで証明が可能となります。長期入院による食事療養費の減額を受けるための「長期入院該当日」なども、申請により記載が可能です。

この統合により、高齢者は複数の証を持ち歩く必要がなくなり、管理の手間や、窓口での出し忘れによるトラブルが減少することが期待されています。従来は「保険証は持ってきたが認定証を忘れたため、一旦3割負担を請求された」といった事例が散見されましたが、一体化された資格確認書であれば、そのような事態は回避できるのです。

住所変更や紛失時の具体的な手続き

特例により「プッシュ型」で交付される資格確認書ですが、引っ越しや紛失といったライフイベントが発生した際には、能動的な手続きが必要となる場合があります。

転居に伴う手続き

高齢者の場合、施設入所や子供と同居するために住所を変更するケースが少なくありません。同一市区町村内で転居した場合、転居届を提出すれば、新しい住所が記載された資格確認書が後日郵送されます。多くの自治体では、システム連携により申請不要で自動的に新しい証が送られますが、届くまでの間は、旧住所の資格確認書の裏面にある住所記入欄(備考欄等)に、自身で新住所を記載して使用するよう案内されることが一般的です。同一区内での転居など、保険者内部での異動の場合は、証の差し替えを行わず、裏面記載のみで対応する場合もあります。

一方、県外や他の市区町村へ転出する場合は、転入先の自治体で新たに後期高齢者医療制度の資格取得手続きが行われます。転入届を提出した後、通常1週間程度で新しい自治体から資格確認書が郵送されます。この際も、特例期間中であれば、マイナ保険証の有無にかかわらず資格確認書が交付されます。

紛失時の再交付申請

資格確認書を紛失した場合は、プッシュ型交付の対象外となり、再交付の申請が必要です。申請は、市区町村の窓口または郵送で行います。必要なものは、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)です。代理人が申請する場合は、委任状や代理人の本人確認書類に加え、場合によっては被保険者本人の身分証の写し等も求められます。

重要なのは「即日交付」が可能かどうかという点です。多くの自治体では、本人が本庁舎の窓口に来庁し、十分な本人確認ができる場合に限り、その場で資格確認書を作成・交付しています。しかし、出張所や支所では発行機器がないため後日郵送となったり、代理人申請の場合は安全のために本人住所への郵送対応となったりするケースも多いため、急ぎの場合は事前に電話等で確認することが推奨されます。

マイナ保険証利用の実態と現場でのトラブル

政府はマイナ保険証への一本化を強力に推進していますが、医療の最前線、特に高齢者医療の現場では様々な課題が浮き彫りになっています。

高齢者にとってのマイナ保険証のメリット

客観的なメリットとして最初に挙げられるのは「情報の共有」です。高齢者は複数の医療機関を受診し、多種類の薬を服用している(ポリファーマシー)ケースが多く見られます。マイナ保険証を利用し、本人が情報提供に同意すれば、医師や薬剤師は過去の処方薬情報や特定健診の結果を閲覧でき、飲み合わせの悪い薬の処方や重複投薬を防ぐことができます。これは健康管理上、非常に大きな利点です。

また、高額療養費の限度額適用が自動で行われるため、事前の役所手続きが不要になる点も、移動が困難な高齢者にとっては恩恵と言えます。

さらに、「マイナ救急」と呼ばれる取り組みも進んでいます。意識不明で救急搬送された際、救急隊員がマイナンバーカードからかかりつけ医や既往歴、薬剤情報を読み取り、搬送先の選定や応急処置に活かす仕組みです。2025年度から全国展開されており、自分の病歴を説明できない緊急時に、カードが命綱になる可能性があります。

顔認証と暗証番号で生じる課題

こうしたメリットを享受するための「入り口」で、多くの高齢者がつまずいているのが実情です。最も多いトラブルの一つが「顔認証のエラー」です。マイナ保険証のカードリーダーは、登録された写真と目の前の人物を照合しますが、高齢者の場合、加齢による顔貌の変化、深いシワ、まぶたの下がり、あるいは車椅子での位置合わせの難しさなどが原因で、認証が通らない事例が多発しています。

顔認証ができない場合、4桁の暗証番号の入力が求められますが、これを記憶していない、あるいは認知症等により入力操作ができない高齢者が少なくありません。3回連続で間違えるとロックがかかり、役所の窓口で初期化手続きが必要になるため、かえって手間が増えてしまいます。

結果として、医療機関の窓口では、機器の操作に戸惑う高齢者の対応にスタッフが追われ、待ち時間が増加するという本末転倒な事態も報告されています。「紙の保険証なら出すだけで終わったのに」という不満の声は、患者・医療機関双方から上がっています。

お薬手帳は引き続き必要

「マイナ保険証があればお薬手帳はいらない」という認識が一部で広まっていますが、現場の専門家はこれを否定しています。マイナ保険証で参照できる薬剤情報は、レセプト(診療報酬明細書)データを基にしているため、反映されるまでに数週間から1ヶ月程度のタイムラグが生じます。つまり、直近に処方された薬の情報が抜け落ちている可能性があるのです。

また、服用に関する細かな指導内容や、市販薬の購入履歴などはデータに含まれません。さらに、災害時やシステム障害時など、カードリーダーが使えない状況では、紙のお薬手帳が唯一の情報源となります。そのため、高齢者に対しては「マイナ保険証を持っていても、紙のお薬手帳は必ず併用する」ことが推奨されています。

利用登録解除の増加と手続きの流れ

制度開始以降、一度はマイナ保険証の利用登録をしたものの、やはり紙の資格確認書に戻したいと考える人が増えています。この「利用登録解除」の動きは、現在の制度に対する国民の不安を映し出しているとも言えます。

解除申請が増加している背景

2024年後半から2025年にかけて、利用登録の解除申請件数は急増しており、一部報道では前月比2.4倍といった数字も報じられました。その背景にあるのは、第一に「セキュリティへの不安」です。マイナンバーカードを持ち歩くことによる紛失・盗難のリスクや、個人情報漏洩への懸念が根強くあります。

第二に、「資格確認書への回帰願望」です。前述したような顔認証トラブルやシステム不具合を経験したり、見聞きしたりしたことで、「確実に使える紙の証明書を持っておきたい」という心理が働いています。特に高齢者の場合、家族が保険証を管理しているケースも多く、物理的なカードの方が所在が明確で安心できるという事情もあります。

解除手続きの具体的な方法

こうした声を受け、政府はマイナ保険証の利用登録解除を認めています。手続きは、居住する自治体の国民健康保険や後期高齢者医療制度の担当窓口で行います。申請者は本人または代理人です。窓口には本人確認書類が必要であり、代理人の場合は委任状が求められることが一般的です。郵送での申請を受け付けている自治体も多くあります。

解除申請を行うと、後日(自治体により即日から1〜2ヶ月後と幅がありますが)、加入している健康保険から「資格確認書」が交付されます。これにより、マイナ保険証の利用をやめても、途切れることなく保険診療を受けることが可能になります。また、解除後であっても、再度必要になればいつでも再登録(マイナポータル等から)が可能であるため、「試しに使ってみて、合わなければ解除する」という選択肢も現実的です。

解除申請中(システム反映待ち)の期間に医療機関を受診する必要がある場合は、申請受理通知や、別途交付される仮の証明書等で対応する場合があるため、窓口での確認が必要です。

2026年8月以降はどうなるのか

特例期間が終了する2026年8月以降の見通しについては、多くの方が関心を持っている点でしょう。

特例終了後に想定されるシナリオ

現在の特例措置(75歳以上への一律プッシュ型交付)は、2026年7月31日までと期限が切られています。2026年8月1日以降については、現時点での法的な原則論に基づけば、特例終了後は「本来の姿」に戻ることになります。すなわち、「マイナ保険証を持っていない人には資格確認書を交付する」一方で、「マイナ保険証を持っている人には交付しない(資格情報のお知らせのみ送付)」という運用です。

しかし、デジタル庁や厚生労働省の資料には、この期限について「当分の間」や「暫定的な運用」という表現が使われており、今後のマイナ保険証の普及率や、医療現場でのトラブル状況、そして世論の動向によっては、この特例期間が再延長される可能性も十分に考えられます。実際、当初の期限から既に延長措置がとられた経緯があるため、政府も高齢者対応の難しさを認識し、柔軟な姿勢を見せています。

恒久的な対応策も導入済み

特例期間の終了を見据え、あるいは特例に頼らない恒久的な解決策として、いくつかの新しい枠組みも導入されています。

一つは「顔認証マイナンバーカード」の導入です。これは、暗証番号の設定を不要とし、本人確認方法を「顔認証」または「目視」のみに限定したマイナンバーカードです。暗証番号を覚える必要がなく、セキュリティリスク(暗証番号を盗まれて悪用されるリスク)も低減されるため、認知症の高齢者や、カード管理に不安を持つ層に向けた代替案として推奨されています。

もう一つは、資格確認書の有効期限の延長です。従来の健康保険証は1年ごとの更新が一般的でしたが、資格確認書については、被保険者の負担軽減のため、最大で5年まで有効期限を設定可能とする方針が示されています。これにより、毎年新しい証が届くのを待つ手間や、更新時の郵送事故リスクを減らすことが期待されています。

家族や支援者が今すぐ確認すべきこと

75歳以上の親を持つ家族や、ケアマネジャー等の支援者が、この過渡期において具体的にどのような行動をとるべきかを整理します。

確認すべき3つのポイント

まず、家族は以下の3点を確認する必要があります。

現在の保険証・資格確認書の有効期限については、手元にある紙の保険証または資格確認書がいつまで使えるかを確認してください。2025年8月に送付された資格確認書であれば、2026年7月31日まで有効です。それまでは大切に保管・使用させることが重要です。

マイナンバーカードの状況については、親がカードを持っているか、保険証利用登録をしているか、暗証番号を覚えているかを確認してください。マイナンバーカードを持っていても、資格確認書が届いていれば、無理にマイナ保険証を使う必要はありません。

2025年夏に届いた資格確認書の保管については、75歳以上であれば、マイナ保険証の有無にかかわらず「資格確認書」が送付されています。これを「不要な広告」や「手続き書類」と勘違いして捨ててしまわないよう、強く注意喚起する必要があります。「これが新しい保険証だよ」と伝え、古い保険証と入れ替える作業をサポートしてください。

医療機関での対応方法

無理にマイナ保険証を使わせる必要はありません。本人が機械操作に不安を感じているなら、送られてきた「資格確認書」を窓口に出すだけで十分です。医療機関側は、資格確認書の提示を拒否することはできません。むしろ、トラブル回避のために歓迎されるケースすらあります。

また、前述の通り、お薬手帳は必ず持参させましょう。デジタルに頼りすぎず、アナログなバックアップを維持することが、医療安全上の最善策です。

施設入所時の対応

親が介護施設に入所している場合、保険証の管理は施設側が行っていることが多いです。施設側としては、暗証番号の管理責任等のリスクを避けるため、マイナ保険証ではなく「資格確認書」での管理を強く希望する傾向にあります。

そのため、家族は施設側と相談し、マイナ保険証を作っていたとしても、送られてきた資格確認書を施設に預ける運用にするのがスムーズです。もしマイナ保険証しか持っていない場合(特例期間終了後などの場合)は、解除申請を行って資格確認書を入手し、それを施設に渡すという手続きが必要になるかもしれません。

まとめ:2026年夏までは紙の証明書で安心

75歳以上の高齢者に対するマイナ保険証の導入は、政府の強い推進姿勢とは裏腹に、現場での混乱を避けるための手厚い「特例措置」によって、実質的に高齢者を守るセーフティネットとして機能しています。

最も重要なポイントは、「2026年夏までは、マイナ保険証がなくても、あるいは使いこなせなくても、これまで通り役所から送られてくる紙の証(資格確認書)を使えば何も問題はない」という事実です。デジタル化の波に無理に乗ろうとしてストレスを感じたり、医療機関でトラブルになったりするよりは、この特例措置を最大限に活用し、送られてくる資格確認書を大切に使うという「現状維持」のスタンスが、多くの高齢者にとって最も現実的かつ安全な選択肢と言えるでしょう。

同時に、利用登録の解除や、限度額適用の自動付与といった細かなルールを知っておくことで、無用な不安や出費を防ぐことができます。この過渡期においては、デジタルとアナログの良さを状況に応じて使い分ける「ハイブリッドな対応」こそが求められています。

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