山口大学がレアアース含有の新鉱物4種を同時発見!茂倉沢鉱山の快挙を解説

社会

山口大学大学院創成科学研究科の永嶌真理子教授を中心とする研究グループが、群馬県桐生市の茂倉沢鉱山から希土類元素(レアアース)とバナジウムを含む4種類の新鉱物を同時に発見し、国際鉱物学連合(IMA)によって正式に承認されました。2026年1月23日に発表されたこの発見は、日本の鉱物学において極めて稀有な成果であり、一つの産地から同一の研究プロジェクトで4種もの新鉱物が認定されることは世界的にも珍しい事例です。今回発見された「セリウムバナジン赤坂簾石」「セリウム赤坂簾石」「ランタン赤坂簾石」「ランタンバナジン赤坂簾石」の4種は、すべて緑簾石スーパーグループ内の赤坂簾石グループに属し、結晶構造内における微細な元素置換の法則性を体系的に示すものとなっています。

この記事では、山口大学による日本産新鉱物4種の発見について、その経緯から鉱物学的な詳細、発見地である茂倉沢鉱山の地質学的背景、そしてレアアース資源としての潜在的な意義まで詳しく解説していきます。

山口大学の研究グループが成し遂げたレアアース含有新鉱物4種同時発見の概要

山口大学を中心とする研究グループが発見した4種の新鉱物は、いずれも希土類元素であるランタンまたはセリウムを主成分として含んでいます。この発見は、大学の研究室だけでなく、在野のアマチュア鉱物研究家との連携によって初めて実現した成果でした。

研究グループの中核を担った永嶌真理子教授は、鉱物学および結晶化学を専門としており、特に緑簾石族鉱物の結晶構造や元素の挙動に関する研究において世界的な業績を有しています。過去には愛媛県から発見された「ランタンバナジン褐簾石」や、三重県からの「ランタンフェリエピドート」など、レアアースを含む新鉱物の記載に数多く携わってきた実績があります。今回の発見も、永嶌教授が長年進めてきた緑簾石族鉱物の結晶化学的研究という大きなテーマの延長線上に位置づけられます。

微細な鉱物試料の精密な分析においては、東京大学物性研究所の浜根大輔博士が決定的な役割を果たしました。浜根博士はX線回折や電子顕微鏡を用いた物質同定のエキスパートであり、「千葉石」や「アマテラス石」など日本産新鉱物の発見と記載において数多くの実績を持っています。外見上区別がつかない微細な結晶の構造を決定するためには、このような高度な技術的知見が不可欠でした。

そしてこの発見の端緒を開いたのは、大西政之氏、宮島宏氏、原田明氏という3名のアマチュア鉱物研究家たちです。彼らは群馬県の茂倉沢鉱山というかつてマンガン鉱石を採掘していた廃鉱山において、粘り強い調査を行っていました。宮島宏氏は新潟県糸魚川市のフォッサマグナミュージアムの学芸員としても知られ、ヒスイや関連鉱物の研究で多くの業績を残している人物です。

発見された日本産新鉱物4種それぞれの特徴と違い

今回承認された4種の鉱物は、すべて赤坂簾石グループに属していますが、結晶構造内のA2サイトとM1サイトに入る元素の組み合わせによって、それぞれ独立した種として区別されます。

セリウムバナジン赤坂簾石は、学名を「Vanadoakasakaite-(Ce)」といい、IMA承認番号は2024-044で2024年10月3日に承認されました。この鉱物は赤坂簾石の構造を持ち、A2サイトでセリウムが最も多く、かつM1サイトでバナジウムが最も多い種です。名称は「バナジウムが入った赤坂簾石でセリウム優勢」という意味を表しています。従来の赤坂簾石のアルミニウムの一部がバナジウムに置き換わったものであり、バナジウムは通常M1サイトに入って結晶構造を特徴的に変化させます。

セリウム赤坂簾石は、学名を「Akasakaite-(Ce)」といい、IMA承認番号は2025-001で2025年5月3日に承認されました。A2サイトでセリウムが優勢であり、M1サイトではアルミニウムが優勢な種です。これが赤坂簾石グループにおける最も標準的なセリウム端成分となります。M1サイトがアルミニウムであるため接頭語はつきません。本来であればもっと早く発見されていてもおかしくない基本的な構成ですが、M3サイトをMn2+が占有するという条件を満たす環境が限られていたため、発見が遅れました。

ランタン赤坂簾石は、学名を「Akasakaite-(La)」といい、IMA承認番号は2025-002で2025年5月3日に承認されました。A2サイトでランタンが優勢であり、M1サイトではアルミニウムが優勢な種です。セリウム赤坂簾石のランタン置換体にあたります。自然界ではセリウムの方がランタンよりも存在比が高いことが多いため、ランタン優勢の鉱物は相対的に希少ですが、茂倉沢鉱山の特殊な環境では局所的にランタンが濃集したと考えられています。

ランタンバナジン赤坂簾石は、学名を「Vanadoakasakaite-(La)」といい、IMA承認番号は2025-003で2025年5月3日に承認されました。A2サイトでランタンが優勢であり、かつM1サイトでバナジウムが優勢な種です。セリウムバナジン赤坂簾石のランタン置換体であり、バナジウムとランタンという産業的にも極めて重要な2つの元素を主成分として含んでいます。

緑簾石スーパーグループとはどのような鉱物グループなのか

今回発見された4種の鉱物を深く理解するためには、それらが属する緑簾石スーパーグループという鉱物グループの構造について知る必要があります。緑簾石スーパーグループの鉱物は単斜晶系という結晶系に属しており、その結晶構造は非常に規則正しい原子の配列によって特徴づけられます。

この鉱物グループの一般式はA1 A2 M1 M2 M3 (Si2O7) (SiO4) O (OH)と表されます。この化学式は結晶の中に陽イオンが入るための「席(サイト)」が5種類用意されていることを示しており、それぞれのサイトは周囲を酸素原子に囲まれた特定の形状をしています。その大きさや歪みの度合いによって、収容できる元素の種類が決まっています。

Aサイトと呼ばれるA1とA2は比較的大きなカチオンが入るためのスペースであり、配位数は9から10と大きく原子半径の大きな元素が好んで入ります。A1サイトには通常カルシウムやマンガンが入り、A2サイトにはA1よりもさらに大きなカチオンを収容できます。A2サイトにはカルシウムだけでなくランタンやセリウムなどの希土類元素、あるいはストロンチウムや鉛などが入ります。今回の新鉱物においては、このA2サイトにレアアースが入ることが最大の特徴となっています。

MサイトであるM1、M2、M3は酸素原子6個に囲まれた八面体配位のサイトで、比較的小さなカチオンが入ります。M1サイトには通常アルミニウムが入りますが、バナジウム、鉄、マンガン、クロムなどが入ることもあり、今回の新鉱物の一部ではここにバナジウムが入ります。M2サイトは八面体の中で最も小さく歪みのないサイトで、ほぼ例外なくアルミニウムが入ります。M3サイトは八面体の中で最も大きく歪んだ形状をしており、このサイトに入る元素の種類が鉱物の基本的な分類を決定する重要な鍵となります。

赤坂簾石という名称の由来と鉱物学的な位置づけ

鉱物名に冠された「赤坂」は、日本の著名な鉱物学者である島根大学名誉教授の赤坂正秀博士に由来しています。赤坂教授は長年にわたり緑簾石族鉱物の結晶化学的研究に従事してきました。特にマンガンを含む緑簾石の合成実験や天然のマンガン緑簾石の詳細な構造解析において先駆的な業績を残しています。2006年のArmbrusterらによる緑簾石スーパーグループの命名規約改定においても、赤坂教授の研究成果は重要な基礎データとして参照されました。

「Akasakaite」というルートネームが初めて正式に使用されたのは2015年のことです。永嶌真理子教授らの研究グループが三重県伊勢市の菖蒲地域にある層状鉄マンガン鉱床から発見した新鉱物を「ランタンフェリエピドート(Ferriakasakaite-(La))」として記載した際、A1=Ca、M3=Mn2+の組み合わせを持つ新しいルートネームとして定義されました。このとき定義されたのは「鉄が入った赤坂簾石」でしたが、今回の発見によりM1サイトにアルミニウムが入る「正真正銘の赤坂簾石」と、バナジウムが入る「バナジン赤坂簾石」が一挙に加わりました。

これにより赤坂簾石シリーズは、鉄、アルミニウム、バナジウムという異なる元素を取り込みながら多様なバリエーションを展開する、鉱物学的に非常に豊かなグループであることが証明されました。

発見地である茂倉沢鉱山の地質学的背景と特徴

新鉱物が発見された群馬県桐生市の茂倉沢鉱山は、日本の鉱物学史上特別な位置を占める場所です。茂倉沢鉱山は足尾山地の南部に位置しており、地質学的には「足尾帯」と呼ばれる中生代ジュラ紀の付加体に属しています。付加体とは海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレート上の堆積物が剥ぎ取られて陸側に押し付けられた地質体のことです。

この地域にはジュラ紀(約2億年前から1億4500万年前)の深海底で堆積したチャートが広く分布しています。チャートとは放散虫の殻からなるシリカ質の岩石のことです。茂倉沢鉱山の鉱床はこのチャート層の中に挟まれるようにして存在する「層状マンガン鉱床」です。

層状マンガン鉱床はかつての深海底において熱水活動などによって供給されたマンガンが沈殿・濃集して形成されたと考えられています。その後プレートの沈み込みに伴う変成作用を受け、マンガンは周囲のシリカやアルミニウムなどと反応し、バラ輝石やテフロ石などの多様なマンガン珪酸塩鉱物を生成しました。

茂倉沢鉱山が特異なのは、マンガンだけでなくバナジウムやバリウム、そして希土類元素が顕著に濃集している点です。これらの元素がどのようなプロセスで濃集したのかについてはまだ完全には解明されていませんが、当時の海底熱水の成分や堆積環境における酸化還元状態が密接に関わっていると推測されています。

茂倉沢鉱山がこれまでに輩出した新鉱物とその歴史

茂倉沢鉱山は今回の発見以前から世界的に有名な産地でした。その名を不動のものにしたのが、1980年頃に発見された新鉱物「長島石(Nagashimalite)」です。長島石はバリウムとバナジウムを含む珍しい珪酸塩鉱物であり、日本のアマチュア鉱物研究の父とも呼ばれる長島乙吉氏にちなんで命名されました。また同じくこの鉱山からは「鈴木石(Suzukiite)」というやはりバリウムとバナジウムを含む新鉱物も発見されています。

今回の赤坂簾石類の新種発見は、茂倉沢鉱山が依然として未知の鉱物を秘めた産地であることを示しています。特にバナジウムを含む鉱物がこれほど多様に産出する場所は世界でも稀であり、バナジウムの地球化学的挙動を研究する上で茂倉沢は極めて重要なフィールドといえます。

今回の4種の新鉱物はバラ輝石を主とするマンガン鉱石の中に含まれる「石英レンズ」の中に産出しました。石英レンズとは変成作用の過程でシリカ成分がレンズ状に集合した部分です。石英は化学的に安定で透明な鉱物であるため、その中に閉じ込められた赤坂簾石類の結晶は風化や変質から守られ、非常に新鮮な状態で保存されていました。このことが微細な結晶でありながら高精度の分析を可能にした大きな要因です。

4種の新鉱物が同時に発見された科学的なメカニズム

一度に4種類もの新鉱物が発見された背景には「固溶体」という概念と現在の鉱物分類のルールがあります。鉱物は化学組成が完全に一定ではなくある範囲で成分が変動することがよくあり、これを固溶体と呼びます。今回の赤坂簾石類の場合、A2サイトではランタンとセリウムが互いに置き換わり、M1サイトではバナジウムとアルミニウムが互いに置き換わるという2つのサイトで成分の変動が起きていました。

国際鉱物学連合の分類ルールでは、あるサイトにおいて支配的な(50%を超える)元素が異なれば、それは別の鉱物種として扱われます。茂倉沢の試料では場所によって微妙に化学組成が異なり、セリウムがランタンより多くかつバナジウムがアルミニウムより多い「セリウムバナジン赤坂簾石」、セリウムがランタンより多くかつアルミニウムがバナジウムより多い「セリウム赤坂簾石」、ランタンがセリウムより多くかつアルミニウムがバナジウムより多い「ランタン赤坂簾石」、ランタンがセリウムより多くかつバナジウムがアルミニウムより多い「ランタンバナジン赤坂簾石」という4つの組み合わせすべてが確認されたのです。

これら4種が狭い範囲に共存しているということは、鉱物が形成された当時の環境においてこれらの元素の供給バランスが絶妙に揺れ動いていたことを示唆しています。ある微小な領域ではバナジウムが濃くすぐ隣の領域ではアルミニウムが濃いといった不均質性が、そのまま鉱物の多様性として固定されたのです。

困難を極めた新鉱物の同定作業とその成果

これら4種の鉱物は結晶構造も化学組成も非常に似通っています。X線回折パターンも酷似しており、通常の粉末X線回折法では区別がつきません。各鉱物を識別するためには単結晶X線回折装置を用いて原子の配置と結合距離を精密に測定し、さらにEPMA(電子プローブマイクロアナライザー)を用いてそれぞれの結晶粒における元素の濃度比を正確に定量する必要がありました。

永嶌教授と浜根博士のチームは膨大な数の微小結晶を一つ一つ分析し、それぞれの結晶がどの「種」に該当するかをマッピングしていきました。その結果4つのパターンすべてが存在することを突き止めたのです。これは高い分析技術と粘り強い解析作業の賜物です。

これら4種の鉱物の結晶構造は単結晶X線回折法によって詳細に解析されています。単位格子のパラメータはa軸が8.885から8.925オングストローム、b軸が5.694から5.744オングストローム、c軸が10.100から10.153オングストローム、β角が113.62から113.79度、単位格子体積が468.0から476.4立方オングストロームの範囲にあります。

特筆すべきはバナジウムを含む種の方が含まない種に比べて単位格子の体積が大きくなる傾向がある点です。これはM1サイトに入るバナジウムイオンのイオン半径がアルミニウムイオンよりも大きいためです。M1サイトの酸素との結合距離が伸びることで結晶全体が膨張します。

新鉱物4種の物理的性質と外観の特徴

これら4種の鉱物はいずれも暗褐色の柱状結晶として産出します。結晶の大きさはミリメートルサイズ以下と微細であり、肉眼やルーペでの観察では互いを区別することは不可能です。また既存の褐簾石や同じく茂倉沢鉱山から産出する他のバナジウム鉱物とも外観が酷似しています。

すべての種において条痕(粉末にしたときの色)は褐色であり、ガラス光沢を持ちます。劈開は明瞭ではなく、断口は不規則ないし貝殻状を示します。これらの物理的性質は緑簾石スーパーグループの他の鉱物と共通しており、外見だけで新鉱物と判断することは極めて困難です。だからこそEPMAによる化学分析とX線回折による構造解析の組み合わせが発見の鍵となりました。

レアアース資源としての潜在的価値と産業的意義

今回発見された鉱物はその主成分としてランタンとセリウムを含んでいます。これらは「軽希土類元素」に分類され、現代産業において極めて重要な役割を果たしています。

ランタンは高屈折率の光学レンズ、ニッケル水素電池の負極材、石油精製の流動接触分解触媒などに使用されます。ハイブリッド車のバッテリーには多量のランタンが必要とされ、脱炭素社会の実現に向けたキーマテリアルの一つとなっています。

セリウムは研磨剤(液晶パネルやハードディスクのガラス基板用)、自動車の排ガス浄化触媒、紫外線遮蔽材などに利用されます。最も豊富に存在するレアアースですが、その用途は多岐にわたります。

またバナジウムも重要なレアメタルであり、高張力鋼の添加剤としての用途に加え、近年では再生可能エネルギーの蓄電システムとして注目される「レドックス・フロー電池」への需要が急増しています。

日本における資源探査への示唆と今後の可能性

茂倉沢鉱山の鉱床規模は小さく、今回の新鉱物が直ちに産業的な採掘対象となるわけではありません。しかし日本列島の陸上においてどのような地質学的条件下でレアアースが濃集し鉱物として固定されるのかを知ることは、資源探査の観点から非常に重要です。

これまでのレアアース資源の探索は主に花崗岩風化殻(イオン吸着型鉱床)や海底堆積物(レアアース泥)に焦点が当てられてきました。しかし今回のような層状マンガン鉱床に伴うレアアースの濃集は、新たな探査ターゲットの可能性を示唆するものです。特にチャートという一般的な岩石の中に局所的とはいえ高品位のレアアース鉱物が形成されるプロセスが解明されれば、日本国内の他のマンガン鉱床や付加体地域においても同様の資源が見つかる可能性があります。

さらにこれらの鉱物はレアアースとバナジウムを同時に含んでいるため、複合的な資源としての評価も興味深いテーマとなります。選鉱技術や精錬技術の進歩により、将来的にこうした鉱物が資源として利用可能になる時代が来るかもしれません。

研究を支えた支援体制とプロジェクトの背景

この研究は単なる偶然の産物ではありません。山口大学が推進する「先端研究基盤共用推進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)」による支援が研究の加速に大きく寄与しました。このプログラムにより大学が保有する最先端の全学共用機器を用いた高度な分析が可能となり、微量な元素の定性・定量分析や原子レベルでの結晶構造解析が実現しました。

永嶌教授は科学研究費助成事業において「緑簾石族鉱物 / レアアース / 遷移金属元素 / 結晶構造」をキーワードとする研究課題を遂行しており、バナジウムやレアアースが緑簾石構造の中でどのように振る舞うかについての基礎的な知見を蓄積していました。今回の4種の新鉱物はまさにその基礎研究の理論的枠組みの中でその存在が予見され、そして実証されたものといえます。

アマチュア研究者と専門家の連携が生んだ画期的な成果

本発見は日本における鉱物研究においてアマチュア研究者の存在がいかに重要であるかを再確認させました。大西政之氏、宮島宏氏、原田明氏という3名のアマチュア研究家の熱心なフィールドワークと、プロの研究者との信頼関係に基づく連携がなければ、これらの鉱物は誰にも知られることなく石英の中に埋もれたままだったでしょう。

複雑に入り組んだ鉱石の中に潜むわずかな違和感を見出す「眼」を持つアマチュア研究家と、高度な分析技術を持つ大学・研究機関の専門家が密接に連携することによって初めてこの成果は実現しました。この「シチズンサイエンス(市民科学)」の成功例は、今後の科学研究のあり方にも示唆を与えるものです。

今回の発見が持つ鉱物学的意義と科学的価値

山口大学の永嶌真理子教授、東京大学の浜根大輔博士、そしてアマチュア研究家たちによる4種の新鉱物発見は、緑簾石スーパーグループの結晶化学における重要なミッシングリンクを埋めるものです。特に赤坂簾石シリーズにおける元素置換の多様性を実証し、バナジウムやマンガン、レアアースといった元素が結晶構造内でどのように振る舞うかを明らかにした点は、基礎科学として高い価値を持ちます。

また1つの産地から1つのシリーズを構成する4つの端成分が同時に発見されたことは、自然界の化学平衡の妙を示す美しい事例として教科書的な意義も持ち合わせています。

茂倉沢鉱山という一見すると過去の遺産となった廃鉱山から最先端の科学トピックが生まれたことは、私たちに「足元を見つめ直す」ことの大切さを教えてくれます。レアアースという現代の宝が日本の山野の石ころの中に秘められているという事実を明らかにした今回の研究は、資源小国といわれる日本において知的な資源探査の可能性を広げる希望の光といえるでしょう。

今後これらの新鉱物の詳細な物性研究が進み、新たな機能性材料の開発などの応用研究につながることも期待されます。また、このニュースをきっかけに地学や鉱物学に興味を持つ若い世代が増えることは学術界にとって何よりの資産となるはずです。今回の発見は2026年の日本の科学界における最初のビッグニュースとして、長く記憶されることになるでしょう。

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