生活保護の申請が却下されてしまった場合でも、諦める必要はありません。日本の生活保護制度では、申請が一度却下されても再申請することが法的に保障されており、実際に多くの方が再申請によって受給を実現しています。
2025年現在、生活保護制度は物価高騰に対応した支給額の増額も実施されており、以前よりも受給しやすい環境が整っています。生活保護法第7条に定められた申請保護の原則により、何度でも申請することが可能で、状況が変化すれば新たに審査を受けることができます。
重要なのは、前回の却下理由を正しく理解し、適切な準備をして再申請に臨むことです。また、違法な「水際作戦」と呼ばれる申請拒否に遭遇した場合の対処法や、審査請求制度などの救済手段についても知っておくことが大切です。専門家による申請同行サービスを利用することで、成功率を大幅に向上させることも可能です。
本記事では、生活保護の再申請を成功させるための具体的な方法と、申請者の権利を守るための重要なポイントについて詳しく解説します。真に支援が必要な方が適切に保護を受けられるよう、制度を正しく理解し活用していきましょう。

Q1. 生活保護申請が却下されても再申請は本当にできるの?
はい、生活保護の再申請は法的に保障された権利です。生活保護法第7条に定められた申請保護の原則により、一度申請が却下されても何度でも繰り返し申請することが可能です。これは憲法第25条に基づく生存権の保障として、国民に与えられた重要な権利です。
生活保護制度は、生活に困窮している国民に対して最低限度の生活を保障する制度であり、状況が変化すれば再申請する権利があります。実際に多くの方が再申請によって生活保護を受給できています。申請回数に制限はなく、適切な要件を満たしていれば受給することができます。
再申請においても、初回申請と同じ受給要件を満たす必要があります。具体的には、親族に頼れず、資産や貯蓄がなく、収入が生活保護費を下回っている場合に受給が可能となります。これらの要件は変わりませんが、状況の変化により新たに要件を満たすようになった場合は、積極的に再申請を検討すべきです。
2025年においても生活保護制度の基本的な枠組みは変わっておらず、むしろ物価高騰への対応として月額1500円の特例加算が実施されるなど、申請者にとって有利な変更が行われています。厚生労働省からの通知により、申請権の保障や適切な調査の実施について自治体への指導も強化されており、申請者の権利がより保護される方向にあります。
再申請を行う際は、前回の経験を活かして準備を整えることが重要です。却下理由をしっかりと分析し、必要な改善を行った上で申請することで、成功の可能性を高めることができます。申請は権利であることを理解し、萎縮せずに堂々と手続きを進めることが大切です。
Q2. 生活保護申請が却下される主な理由は何?再申請前に知っておくべきポイントは?
生活保護申請が却下される理由は大きく分けて4つのカテゴリーに分類されます。再申請を成功させるためには、これらの却下理由を正確に理解し、それぞれに適切な対策を講じることが重要です。
【資産・収入関連の却下理由】
最も多い却下理由は、資産や収入が基準を超えている場合です。預貯金の額が生活扶助基準額の2分の1を超えている場合、売却可能な資産を保有している場合、多額の解約返戻金がある生命保険を所有している場合などが該当します。また、働ける能力があるとみなされた場合も却下される可能性があります。
【申請後の収入発生による却下】
申請日以降に何らかの経済援助や借り入れがあった場合、それは「収入」とみなされ却下理由となります。生活保護の申請後に親族から金銭や食糧支援を受けたことが要因で申請が却下になることもあります。50万円程度の借金がある場合も、生活保護費からの返済が懸念されるため却下される可能性があります。
【必要書類の不備・協力不足】
申請者が必要な書類を提出しない、または情報提供に協力しない場合も却下理由となります。医師から「働ける」と判断された場合や、健康状態に関する適切な診断書が提出されない場合も含まれます。
【水際作戦による不適切な対応】
二度目の申請であればなおのこと、「あなたの努力が足りない」などと言われ、申請させてもらえない可能性があります。このような違法な対応を受けた場合は、専門家の支援を受けることが有効です。
再申請前に確認すべき重要なポイントとして、保護申請却下通知書の内容を詳細に確認することが挙げられます。この通知書には申請に通らなかった理由が詳細に記載されており、指摘された問題点を一つずつ解決していくことが再申請成功への近道となります。
状況の変化が再申請の根拠となる場合も多くあります。例えば、初回申請時に働ける状態と判断されたが、その後病気が悪化して就労困難になった場合、初回申請時に扶養照会により親族からの援助があると判断されたが、実際には援助を受けられない状況であることが明確になった場合などです。これらの変化を客観的に説明できる資料を準備することが重要です。
Q3. 生活保護の再申請を成功させるための具体的な手続きと準備は?
生活保護の再申請を成功させるためには、前回の却下理由を具体的に改善し、適切な書類準備と手続きを行うことが最も重要です。2025年における最新の要件をもとに、効果的な準備方法をご説明します。
【事前準備の重要ポイント】
まず、前回の却下理由を詳細に分析することから始めましょう。保護申請却下通知書に記載された内容をしっかりと確認し、指摘された問題点を一つずつ解決していきます。状況の変化を客観的に説明できる資料を準備することが成功の鍵となります。
医師の診断書、雇用契約の解除通知、家計簿などの具体的な証拠を提示することで、申請の説得力を高めることができます。特に健康状態が悪化して就労困難になった場合は、詳細な医師の診断書が重要な証拠となります。
【必要書類の完全準備】
基本的な申請書類として、生活保護申請書(認印による押印が必要)、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)、戸籍謄本や住民票などの状況確認書類が必要です。健康保険証や介護保険証も呈示しますが、生活保護開始決定後は脱退することになります。
収入・資産関連書類の準備も重要です。給与明細書、年金証書、預金通帳のコピー、生命保険の証書、不動産登記簿謄本などを正確に準備しましょう。隠蔽や虚偽の申告は後に発覚した場合、保護の取り消しや返還を求められる可能性があります。
住居関連では、賃貸借契約書があると手続きがスムーズに進みます。これは住宅扶助の算定や適正な住居費であるかの判断に使用されます。
【申請手続きの流れ】
再申請の手続きは、基本的に初回申請と同じ流れになります。最寄りの福祉事務所にて受給の相談を行い、面接相談では生活状況や資産状況、親族との交流状況などを確認します。前回の申請から状況がどのように変化したかを具体的に説明することが重要です。
申請書類の提出後、生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)、扶養調査、金融機関への調査が実施されます。申請のあった日から調査を開始し、原則14日以内(特別な理由がある場合は30日以内)に結果が通知されます。
【審査期間中の注意点】
審査期間中に新たな収入や援助を受けることは避けるべきです。これらは再び却下理由となる可能性があります。やむを得ず援助を受ける場合は、事前に福祉事務所に相談することが重要です。
申請をする時点で資産も収入もほとんどなく、頼れる親族などもいない場合は、申請後から保護決定し保護費を受け取るまでの生活について福祉事務所に相談してください。
【2025年の制度変更を活用】
2025年度からは物価高騰への対応として、生活扶助基準の特例加算が月額1500円に増額されています。この制度改正により、最低生活費との差額が大きくなり、保護の必要性がより明確になる可能性があります。最新の支給基準を正確に理解し、申請に活用しましょう。
Q4. 水際作戦に遭った場合の対処法と申請権を守る方法は?
水際作戦は明らかに違法行為であり、生活保護申請を希望する方の権利を侵害する深刻な問題です。特に再申請の場合、より厳しい水際作戦に遭遇する可能性が高いため、適切な対処法を知っておくことが重要です。
【水際作戦の実態と識別方法】
水際作戦とは、福祉事務所の窓口が生活困窮者に生活保護を申請させないよう指導することを指します。全国の統計では、生活保護相談件数のうち実際に申請に移行する割合は約31.4%にとどまっており、7割近くの相談者が申請に至っていないのが現実です。
具体的な水際作戦の手口として、「若いなら就職先なんていくらでもある」という年齢を理由にした申請拒否、「両親はまだ働いているんじゃないか?」という扶養照会を理由にした申請回避の誘導、「申請書を渡さない」という最も露骨な手口などがあります。
再申請の場合は「前回も却下されているのに」「何度も申請する必要はない」などの発言をされることがありますが、これらはすべて違法な対応です。
【効果的な対処法】
水際作戦に対する最も有効な対策は、生活保護の申請同行サポートの利用です。専門家が同行することで、違法な申請拒否を防ぐことができ、申請成功率を大幅に向上させることが可能です。
弁護士による同行支援では、「生活保護を申請したいので申請書をください」と明確に要求することができ、違法な水際作戦に対して法的根拠をもって対抗できます。東京弁護士会、大阪弁護士会、千葉県弁護士会などで専門相談窓口を設けており、申請支援から不当な停止廃止への対応まで幅広く対応しています。
【記録と証拠の重要性】
やりとりをスマートフォンを使って録音することが効果的です。実際に、相談員とのやりとりを録音していたことで水際作戦が発覚したケースがあります。違法な対応の証拠を残すことで、後に問題を指摘することができます。
【具体的な対応話法】
水際作戦に遭遇した場合の具体的な対応方法をご紹介します。「若いなら就職先なんていくらでもある」と言われた場合は、「申請に年齢は一切関係ありません」と明確に反論しましょう。「両親に頼れないのか」と言われた場合は、「扶養は保護の要件ではありません」と回答します。
申請書を渡してもらえない場合は、「申請は法的権利です。申請書を渡してください」と毅然とした態度で要求することが重要です。
【上級機関への相談】
福祉事務所で不当な対応を受けた場合は、その福祉事務所がある都道府県庁に電話をして、生活保護の担当部署にはっきりと事実を訴えることが重要です。また、厚生労働省や各種人権擁護機関への相談も効果的です。
【法的根拠の理解】
生活保護の申請権は法的に明確に保障されています。生活保護法第7条には申請保護の原則が定められており、行政手続法第7条により申請があればこれを拒否することはできません。再申請は法的に保障された権利であり、回数の制限はありません。
一般社団法人・つくろい東京ファンドが運用する「フミダン」などのオンライン申請サービスの活用も有効な選択肢となります。これらの新しい支援システムを活用することで、水際作戦を回避しやすくなります。
Q5. 再申請がうまくいかない場合の審査請求制度と専門家による支援方法は?
生活保護の再申請が却下された場合、審査請求制度という法的救済手段があります。これは行政不服審査法に基づく制度で、福祉事務所の決定に納得がいかない場合に利用できる重要な権利です。また、専門機関による包括的な支援を受けることで、申請成功率を大幅に向上させることが可能です。
【審査請求制度の活用】
審査請求は、費用がかからず簡便な手続きで行政処分の違法性・不当性を争うことができる制度です。処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に審査請求を行う必要があります。保護の適否、種類、程度及び方法の決定に関する処分、保護の変更、停止または廃止の決定に関する処分、保護の申請却下に関する処分が対象となります。
審査請求書には、審査請求人の氏名・住所、処分の内容、処分があったことを知った年月日、審査請求の趣旨及び理由などを記載する必要があります。市町村の福祉事務所の決定であっても、審査請求先は都道府県知事となります。
都道府県知事の裁決に不服がある場合は、厚生労働大臣に再審査請求をすることができ、この場合は裁決があったことを知った日の翌日から1月以内に手続きを行います。
【弁護士による包括的支援】
弁護士は生活保護申請において最も強力な支援者となります。各地の弁護士会では生活保護専門の相談窓口を設けており、申請支援から不当な停止廃止への対応まで幅広く対応しています。
東京弁護士会では池袋、北千住、蒲田の各法律相談センターで予約制の相談を受け付けており、大阪弁護士会総合法律相談センターでは電話番号06-6364-1248で相談予約を受け付けています。弁護士による代理は、生活保護開始申請、変更申請、および決定に対する審査請求や再審査請求まで幅広く対応できます。
【法テラスによる支援制度】
法テラスは生活保護受給者に対して民事法律扶助制度を提供しており、法テラス契約弁護士・司法書士から同一条件の支援を受けることができます。法テラス支援専用電話は0570-078374です。
生活保護受給者には費用立替制度があり、償還猶予や免除制度も設けられています。経済的負担を気にすることなく、専門的な支援を受けることができる制度が整っています。
【司法書士・行政書士による支援】
司法書士は債務整理業務と合わせて生活困窮者への相談や役所同行サービスを提供しており、同行サービスには委任状は不要です。行政書士は官公署提出書類の作成代行が業務範囲に含まれるため、生活保護関連申請書類の作成を業務として行うことができます。
【申請同行サービス】
専門家による申請同行サービスは、申請者にとって心強い支援となります。弁護士が支援者として同行する場合、適切な申請手続きと保護充実のための助言と支援を受けることができます。専門機関による申請同行サポートの受給決定率は99%となっており、その効果は実証されています。
【審査請求と再申請の使い分け】
審査請求と再申請は、それぞれ異なる目的と効果を持っています。却下理由が法的に問題がある場合や調査が不適切であった場合は審査請求が有効です。一方、状況が変化して新たに要件を満たすようになった場合は再申請が適切です。
場合によっては、審査請求を行いながら並行して再申請を行うことも可能です。専門家に相談して、最適な方法を選択することが重要です。
【代理人による申請】
審査請求をすることができる人は福祉事務所などの処分に不服がある人ですが、自分で不服申立ての仕方がわからない場合は、代理人に依頼して審査請求をすることもできます。代理人は別に弁護士でなくても生活保護法に詳しい人に依頼してもかまいませんが、専門的な法的知識が必要な場合が多いため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
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