激安スーパーオーケーの大阪出店は、2024年11月26日に東大阪市の高井田店がオープンしたことで実現しました。2025年には兵庫県を中心に5店舗、2026年には大阪府内に7店舗の出店が予定されており、関西での店舗網は急速に拡大しています。本記事では、オーケーの関西進出計画の全貌から各店舗のオープン日、そして今後の展開予定まで、最新情報を詳しく解説していきます。首都圏で圧倒的な人気を誇るオーケーがどのように関西市場を攻略しようとしているのか、その戦略と消費者にとってのメリットについても深掘りしていきます。

オーケーとは?関西進出で注目される激安スーパーの特徴
オーケーとは、首都圏を中心に展開するディスカウント・スーパーマーケットで、顧客満足度調査においてスーパーマーケット部門で13年以上連続1位という驚異的な記録を保持している企業です。「Everyday Low Price(毎日が特売)」を掲げ、特売チラシに頼らない独自の低価格戦略で多くの消費者から支持を集めています。
オーケーが他のスーパーと大きく異なる点は、特売日を設けずに毎日すべての商品を低価格で提供する「EDLP(Everyday Low Price)」戦略を徹底していることです。関西のスーパーマーケット業界では、「今日は卵が安い」「明日は牛乳が安い」といった日替わりの目玉商品で集客する「ハイ&ロー」戦略が主流となっていました。しかしオーケーは、特売のための商品入れ替えやチラシの制作・配布といったオペレーションコストを削減することで、恒常的な低価格を実現しています。
オーケーの強みは価格だけではありません。店内で生地から発酵・焼成を行う直径約30cmのホールピザが500円台という驚異的な価格で提供されており、「チェリートマトのマルゲリータ」や「ブルーチーズの4種チーズピザ」などが人気を集めています。また、三元豚のロース肉を使用した「ロースかつ重」は299円(税抜)という価格破壊的な設定ながら、店内調理で卵とじにする本格派として高い評価を得ています。
オーケー関西1号店「高井田店」のオープンと現在の状況
オーケーの関西進出は、2024年11月26日に大阪府東大阪市の高井田店がオープンしたことで始まりました。この店舗は単なる1号店ではなく、関西全域を統括する「関西事務所」を併設したヘッドクォーター(司令塔)としての機能を持っています。
高井田店の立地は、大阪メトロ中央線「高井田駅」およびJRおおさか東線「高井田中央駅」から徒歩4分という交通の要衝にあります。国道308号(中央大通)に面しており、車でのアクセスも良好なため、広域からの集客が可能となっています。建物は地下1階から地上5階建ての自社ビルで、売り場は地下1階に展開されており、売り場面積は約748坪(2,473平方メートル)と都市型店舗としては大型の部類に入ります。1階には100円ショップのダイソーをテナントとして誘致し、2階から4階には192台分の駐車場を完備するなど、ワンストップショッピングの利便性を高めています。営業時間は8時30分から21時30分までと長く設定されており、通勤前後の利用客も取り込む工夫がされています。
高井田店のオープン直後から、関西の消費者は大きな反響を示しました。名物の500円台ピザは焼き上がりと同時に売り切れることも珍しくなく、口コミでは「宅配ピザの半額以下」「大きすぎて家のレンジに入らない」といった嬉しい悲鳴が上がっています。また、「ロースかつ重」についても「この値段でこのクオリティは信じられない」「コンビニ弁当が買えなくなる」といった絶賛の声が寄せられており、関西の「値打ち(コスパ)」に厳しい消費者にも受け入れられています。
2025年にオープンしたオーケー店舗一覧
2025年は、オーケーにとって関西での店舗網を本格的に拡大する年となりました。大阪と神戸を結ぶ「阪神間」エリアを中心に、ドミナント(集中出店)戦略が展開されています。
オーケー西宮北口店(兵庫県西宮市) は、2025年1月23日に関西2号店としてオープンしました。「住みたい街ランキング」常連の西宮北口エリアへの出店は、オーケーのブランドイメージを関西のミドル~アッパー層に浸透させるための戦略的な一手です。「阪急西宮ガーデンズ」などの大型商業施設がひしめく激戦区ですが、あえて競合の只中に飛び込むことで、価格と品質の違いを鮮明にする狙いがあります。
オーケー南武庫之荘店(兵庫県尼崎市) は、2025年夏にオープンしました。尼崎市南武庫之荘11丁目、かつてディスカウントストア「ジャパン尼崎店」があった跡地に出店しています。阪急神戸線とJR神戸線の中間に位置し、周辺は一戸建てやマンションが密集する住宅地です。売り場面積は約300坪と高井田店や西宮北口店に比べるとやや小型の店舗となっていますが、地域の冷蔵庫としての役割を果たしています。
オーケー北伊丹店(兵庫県伊丹市) は、2025年秋にオープンしました。大阪国際空港(伊丹空港)の北側に位置し、幹線道路沿いのロードサイド型店舗として、車でのまとめ買い需要を取り込んでいます。
オーケー垂水小束山店(兵庫県神戸市垂水区) は、2025年12月初旬にオープンしました。神戸市西部のニュータウンエリアであり、ファミリー層が多く居住する地域です。近隣にはコストコや多くの商業施設が集積しており、週末の買い出し需要が非常に高いエリアとなっています。
新在家店(仮称)(兵庫県神戸市灘区) は、2025年12月中旬にオープンしました。「サザンモール六甲PLUS+」内への出店という形態をとることで、既存のショッピングモールへのテナント入居による初期投資抑制と集客の両立を図っています。
このように2025年の出店計画は、尼崎、西宮、伊丹、神戸という阪神間の主要都市を「面」で押さえることに主眼が置かれました。これにより物流効率を高めると同時に、地域内での認知度を一気に引き上げる効果が生まれています。
2026年にオープン予定のオーケー大阪店舗
2026年は、オーケーにとって本丸である大阪府内で本格攻勢をかける年となります。7店舗を一挙に出店する計画が明らかになっており、関西での存在感がさらに高まることが予想されます。
オーケー豊中穂積店(大阪府豊中市) は、2026年1月中旬のオープンが予定されています。北摂エリアの中心地である豊中市への進出は、兵庫県側の店舗との物流連携を強化する上でも重要な意味を持っています。
オーケー野江店(城東野江店)(大阪市城東区) は、2026年1月27日のオープンが予定されています。大阪市城東区中央2丁目、京阪本線「野江駅」から徒歩3分、JRおおさか東線「JR野江駅」から徒歩5分という好立地です。この場所は以前「阪急オアシス野江店」が営業していた跡地であり、新たに建設されるクリニックモールビルの1階に入居します。売り場面積は約474坪(1,567平方メートル)、駐車場49台を完備する計画です。人口密度が極めて高い城東区において、競合であった阪急オアシスの撤退跡地に新築で入るという点は注目に値します。
オーケー大東新田西町店(大阪府大東市) は、2026年1月末のオープンが予定されています。高井田店(東大阪市)の北側に位置し、大阪東部エリアのドミナントを強化する役割を担います。
オーケー東住吉今川店(仮称)(大阪市東住吉区) は、2026年5月頃のオープンが予定されています。大阪市南部への足掛かりとなる店舗として位置づけられています。
これら以外にも大阪府内で複数の出店が計画されており、合計7店舗の出店枠が確保されています。大阪市内および衛星都市への出店が加速することは確実です。これらの計画を総合すると、オーケーは2026年末までに関西エリアで15店舗体制(大阪8店舗、兵庫7店舗程度)を確立することになります。
オーケーの関西進出戦略と「Everyday Low Price」の仕組み
オーケーが関西市場での成功を確信する背景には、他社が容易に模倣できない強固なビジネスモデルがあります。その中核をなすのが「Everyday Low Price(EDLP)」への徹底的なこだわりです。
関西のスーパーマーケット業界は伝統的に「特売チラシ」への依存度が高い市場でした。しかしオーケーはこの常識を否定し、特売を行わない代わりに毎日すべての商品を地域最安値(競合店対抗値下げ)で提供するEDLP戦略を採用しています。これにより店舗側は特売のための商品入れ替え、ポップの貼り替え、チラシの制作・配布といった莫大なオペレーションコストを削減できます。この浮いたコストを原資として商品価格をさらに下げるという好循環を生み出しているのです。
オーケーの店内には「競合店対抗値下げ」のポップが至る所に掲示されています。これは近隣の競合店(ライフ、万代、イオンなど)の特売価格を調査し、それよりも高い場合は即座に値下げを行うという宣言です。「万が一、他店より高い商品があればお知らせください」というポスターは単なるスローガンではなく、実際に価格を修正するコミットメントとして機能しています。
共働き世帯の増加などで「特売日に合わせて買い物に行く」ことが難しい層が増えている現代において、いつ行っても安いという安心感は関西でも強力な武器になっています。二宮社長は「関西にはオーケーのような高品質EDLPの業態がなく、勝機がある」と述べており、この戦略への自信がうかがえます。
オーケークラブの会員特典と現金割引の仕組み
オーケーの顧客ロイヤルティを支えるのが、会員組織「オーケークラブ」です。このシステムは入会金・年会費無料で、カード発行手数料200円を支払うだけで会員になれます。
最大の特徴は、食料品(酒類を除く)を「現金」で支払った場合に限り、本体価格から約3%(3/103)相当額が割引されるという点です。キャッシュレス決済が普及する中で「現金のみ割引」という条件は一見不便に思えますが、これには明確な理由があります。クレジットカードや電子マネーの決済手数料(店舗側が負担するコスト)を節約し、その分を確実に顧客への値引きとして還元するためです。
関西の店舗でもこのルールは厳格に適用されていますが、オープン記念として期間限定で「会員カードなしでも割引適用」や「スマホ決済でも割引」といった柔軟なキャンペーンを展開し、まずは安さを体験してもらう工夫も凝らされています。この現金割引の仕組みは、一度体験すると他店での買い物が高く感じられるようになるという心理的効果も生み出しており、リピーター獲得に大きく貢献しています。
オーケーの人気商品と関西限定メニュー
オーケーは関東の商品をそのまま持ち込むだけでなく、関西の食文化に合わせたローカライズ(現地化)も積極的に行っています。
総菜コーナーでは関西限定の「いか焼き」や「牛すじ焼き」といった「粉もん」メニューを開発・投入しています。いか焼きにはゲソと目玉焼きを丸ごと入れるなど、食感とボリュームにこだわった商品となっています。また、ポテトサラダなどの定番商品についても関西人の好みに合わせて味付けを調整したり、太巻き寿司に穴子のエキスを効かせたりといった細やかな工夫が見られます。さらに調味料や嗜好品においても、関西で親しまれている地元メーカーの商品をラインナップに加えるなど、地域の食卓に溶け込む努力を惜しんでいません。
「高品質」を謳うオーケーは、生鮮食品の鮮度管理にも厳しい基準を設けています。発色剤を使わない「無塩せき」のハム・ソーセージをプライベートブランドで展開するなど、健康志向のニーズにも応えています。関西進出にあたっては地場の市場や生産者とのネットワークを新たに構築し、鮮度の良い魚介類や野菜を調達する体制を整えています。高井田店では超低温凍結マグロや地元市場から仕入れた鮮魚をアピールしており、品質面でも関西の消費者を満足させています。
オーケー関西進出の背景にある「関西スーパー」買収騒動
オーケーの関西進出を語る上で、2021年に繰り広げられた「関西スーパーマーケット」を巡るM&A(合併・買収)騒動は避けて通れない重要な背景です。
当時、オーケーは関西進出の足掛かりとして、地場の中堅チェーンである関西スーパーマーケットの買収を提案しました。提示した株式公開買い付け(TOB)価格は1株2,250円で、当時の株価(1,300円台)を大きく上回る破格の条件でした。経済合理性だけで判断すれば株主にとってこれ以上ない魅力的なオファーでしたが、関西スーパー陣営は同じ関西を地盤とするエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(阪急阪神グループ)との経営統合を選択しました。
オーケー側は株主総会での集計手続きに疑義があるとして法廷闘争に持ち込み、一時は神戸地裁がオーケー側の主張を認める仮処分決定を下しましたが、最終的には最高裁までもつれ込み、オーケーの訴えは退けられました。この一連の騒動は「東京の企業に買われるよりも、地元の名門企業グループと組みたい」という「勘定より感情」が優先された事例として経済界に大きな衝撃を与えました。
しかしこの敗北こそが、オーケーの戦略を「M&Aによる時間短縮」から「自前でのドミナント出店によるシェア奪取」へと根本から転換させる契機となりました。保有していた関西スーパー株を売却して得た潤沢な資金は、現在の攻撃的な出店攻勢の原資となっており、いわば「負けて勝つ」ための布石となったのです。
オーケーと競合スーパーとの違い
オーケーの関西進出に対し、既存の関西スーパーマーケット勢力は警戒感を強めています。
ライフコーポレーション は近畿圏と首都圏の両方でトップクラスのシェアを持つ業界の巨人です。「おいしい・ワクワク・ハッピー」を掲げ、店舗の内装や接客、商品提案力に力を入れています。特に健康・自然志向のプライベートブランド「BIO-RAL(ビオラル)」は強力な集客コンテンツとなっています。オーケー高井田店の近隣にもライフの店舗が存在し、まさにガチンコ勝負の様相を呈しています。ライフ側はオーケーとの価格競争に巻き込まれることを避け、質の高い商品や惣菜、快適な買い物環境を提供することで差別化を図る「非価格競争」の戦略をとっています。
かつての買収騒動の相手である H2Oグループ 傘下の「阪急オアシス」や「イズミヤ」との関係も注目されています。オーケー野江店は阪急オアシスの跡地に出店することが決まっており、オーケーがH2Oの商圏を直接的に奪いにかかっていることを示唆しています。H2Oグループは百貨店由来の高級路線や駅近の好立地を強みとしていますが、価格面ではオーケーに分があります。
関西には「ラ・ムー(大黒天物産)」や「サンディ」、「業務スーパー」といった強力なディスカウントストアが既に多数存在します。これらは徹底したローコスト運営で驚異的な安さを実現していますが、オーケーはこれらとも一線を画します。オーケーのターゲットは「高品質なナショナルブランドを安く買いたい層」であり、プライベートブランド中心の激安店とは客層が微妙に異なります。オーケーは「安かろう悪かろう」ではなく「良いものが安い」というポジション(High Quality & EDLP)を確立することで、激安店とも百貨店系スーパーとも異なる独自の立ち位置を築こうとしています。
オーケーの物流戦略と2030年に向けた展望
多店舗展開を支える心臓部となるのが物流です。オーケーは奈良県などに物流拠点を確保し、関西全域への効率的な配送網を構築しています。
2024年には全社的に冷凍食品の自社物流網を構築する計画を発表しており、これを関西でも展開することで冷凍食品の品揃え強化とコストダウンを同時に進めています。共働き世帯の増加で需要が高まる冷凍食品において、他社よりも安く多様な商品を提供できる体制は大きな強みとなっています。
オーケーの関西進出は数店舗を出して様子を見るようなテストマーケティングではありません。将来的には関西エリアだけで50店舗、売上高400億円以上を目指すという壮大なビジョンが掲げられています。この目標を達成するためには現在の出店ペースを維持・加速させる必要があり、2025年、2026年の出店ラッシュはその序章に過ぎません。オーケーは関西においても関東と同様に「なくてはならないインフラ」としての地位を確立するまで、攻撃的な投資を続けるものと予想されます。
関西の消費者にとってのオーケー出店のメリット
オーケーの関西進出は、関西の消費者にとって極めて大きなメリットをもたらしています。「特売日を気にせず、いつでも安く買える」という選択肢が増えることは、家計防衛の強い味方となるからです。
高井田店や西宮北口店のオープン直後の熱狂、SNSでの好意的な口コミを見る限り、関西の消費者はオーケーのスタイルを好意的に受け入れています。関東の覇者が持ち込んだ「EDLP」という新しい業態は、関西のスーパーマーケット業界に強烈な競争原理を導入しました。迎え撃つライフやH2O、万代といった既存勢力もオーケーに対抗して価格を見直したりサービスを向上させたりすることで、関西全体の買い物環境がレベルアップすることは間違いありません。
2025年の兵庫県への集中出店、そして2026年の大阪市街地への本格展開。オーケーが巻き起こした旋風は、関西の食卓と流通地図を大きく変えつつあります。今後も新店舗のオープン情報や既存店舗の評判など、オーケーの動向から目が離せない状況が続きます。

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