フラット35金利1.970%に上昇!2025年12月の返済額への影響と対策

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2025年12月、フラット35の金利は年1.970%に上昇しました。前月の1.900%から0.07ポイントの上昇となり、借入額4,000万円・35年返済の場合、毎月の返済額は約13万2,000円、総返済額は約5,550万円に達します。この金利上昇は、日本銀行の金融政策正常化と長期金利の急騰を背景としており、住宅購入を検討している方にとって、返済計画の見直しが急務となっています。

この記事では、2025年12月のフラット35金利上昇の背景にある市場構造の変化、家計への具体的な影響、そして「子育てプラス」をはじめとする金利引き下げ制度の活用法について詳しく解説します。金利上昇時代においても、適切な知識と戦略があれば、無理のないマイホーム取得は十分に実現可能です。

フラット35の2025年12月金利とは

フラット35の2025年12月適用金利は、融資率9割以下、返済期間21年以上35年以下、新機構団信付きの最頻金利で年1.970%となりました。これは2025年11月の1.900%から0.07ポイント上昇した数値であり、心理的な節目である2.0%の大台に肉薄する水準です。

2024年12月時点の同金利は1.86%でしたので、1年間で0.11ポイントの水準切り上げが行われたことになります。返済期間20年以下の「フラット20」についても、2025年11月の1.510%から0.07ポイント上昇し、1.580%となっており、短期返済型であっても上昇圧力を受けている状況が明らかです。

ARUHI、りそな銀行、埼玉りそな銀行、イオン銀行、楽天銀行といった主要な取扱機関は、いずれもこの1.970%という最頻値を採用しています。今回の上昇は個別の金融機関の営業戦略によるものではなく、市場全体の調達コスト上昇に基づいた構造的な変動であることがわかります。

一方、最も高い金利を設定している金融機関では4.510%に達しており、前月の4.310%から0.20ポイントの急騰となりました。最頻値の上昇幅である0.07ポイントに対し、上限金利の上昇幅が約3倍に達している点は、一部の金融機関が将来の金利変動リスクに対して慎重な姿勢を強めていることを示しています。

金利上昇の背景にある長期金利の急騰

2025年12月のフラット35金利上昇の直接的な原因は、日本の長期金利(10年物国債利回り)の急激な上昇です。住宅ローンの固定金利は、基本的に長期国債の利回りに連動して動く仕組みとなっています。

2025年11月初旬には1.684%近辺で推移していた10年国債利回りは、月末にかけて一本調子で上昇を続け、11月28日時点では1.812%に達しました。わずか1ヶ月足らずで約0.13ポイントの上昇は、債券市場において「急騰」と表現されるべき大きな動きです。

2024年11月29日時点と比較すると、長期金利は0.748%も上昇しています。この1年間で日本の金利環境が劇的に変化したことが、数値からも明確に読み取れます。背景にあるのは、日本銀行による金融政策の正常化プロセスへの強い意識です。

2024年のマイナス金利解除以降、市場は「金利のある世界」への回帰を織り込み続けてきました。2025年後半には物価上昇の定着と賃上げの持続性を材料に、さらなる利上げ観測が強まっています。国債が売られ利回りが上昇するこの流れは、住宅ローン金利を押し上げる強力な圧力として作用し続けています。

機構債の調達コスト上昇と逆ザヤ現象

フラット35の金利決定メカニズムを理解する上で重要なのが、住宅金融支援機構が発行する債券(機構債)の動向です。機構はフラット35で貸し出すための原資を、投資家に債券を発行することで市場から調達しています。機構債の表面利率、つまり調達コストが上がれば、貸出金利も上げざるを得ないというのが基本的な構造です。

2025年10月に発行された機構債の表面利率は2.12%、12月金利のベースとなる11月発行分では2.15%まで上昇しました。注目すべきは、調達コストである2.15%に対し、11月時点の貸出金利が1.90%であったという点です。調達金利が貸出金利を上回る「逆ザヤ」の状態が発生しており、その差(スプレッド)はマイナス0.25ポイントにまで拡大していました。

住宅金融支援機構は公的な役割を担っているため、急激な金利変動が国民生活に与えるショックを和らげる「激変緩和措置」として、この逆ザヤを一時的に容認してきました。しかし、マイナス0.25ポイントという過去最大級の逆ザヤ幅は、機構の財務健全性を脅かす水準です。

2025年12月の0.07ポイント引き上げは、これ以上の乖離を放置できないという機構側の判断であり、市場実勢への修正圧力が限界点に達した結果といえます。今後も調達コストが高止まりする限り、激変緩和措置による金利抑制には限界があり、金利上昇がより直接的に反映されるフェーズに入ったと考えられます。

日銀の金融政策転換とインフレの定着

2025年12月の金利上昇を読み解くには、日本銀行の金融政策の変化を理解する必要があります。長らく続いた異次元緩和、特にイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃以降、長期金利は市場の需給によって決まる割合が高まりました。

2025年を通じて、日本の消費者物価指数(CPI)は日銀の目標である2%近傍で底堅く推移しており、企業間での賃上げも定着しつつあります。日銀はこの「物価と賃金の好循環」を確認しながら、慎重に利上げを進めるスタンスを取っています。

2025年12月時点の市場コンセンサスでは、2025年12月あるいは2026年初頭に追加利上げが行われる可能性が高いと見られています。政策金利(短期金利)の引き上げは直接的には変動金利に影響しますが、将来の利上げ期待は長期金利にも波及し、固定金利を押し上げる要因となります。

フラット35の金利上昇は一時的な市場の綾ではなく、日本経済がデフレからインフレ経済へと構造転換する中で必然的に起きている現象といえるでしょう。

米国金利との非連動(デカップリング)の進行

かつて日本の長期金利は、米国長期金利(米国債利回り)の動向に強く左右される傾向がありました。米国金利が上がれば日本金利もつられて上がり、下がれば下がるという連動性です。しかし、2025年後半にかけて、この相関関係に異変が生じています。

米国ではインフレ沈静化に伴い、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げサイクルに入っており、米長期金利は3.5%から4.5%のレンジで低下圧力がかかっています。通常であれば、これは日本の金利低下要因となるはずです。しかし現実には、日本の円金利は米金利に逆行する形で上昇を続けています。

特に2025年8月以降、30年金利などの超長期ゾーンを含め、日米金利の相関がほとんど失われる「デカップリング」が発生しています。この現象は、日本の金利上昇が海外市場という外部要因ではなく、国内のインフレ、日銀の正常化、国債買入れ減額といった内部要因によって主導されていることを強く示唆しています。

日銀が保有国債の残高圧縮を進める中で、需給バランスが緩み、金利が上昇しやすい地合いが形成されています。今後仮に米国経済がリセッション入りして米金利が急低下したとしても、日本の住宅ローン金利は下がらない、あるいは独自に上昇し続けるリスクがあることを意味しており、借り手にとっては外部環境の好転を期待しにくい状況といえます。

フラット35子育てプラスによる金利引き下げの仕組み

基準金利が約2%に達した現在、フラット35を検討する上で最も重要なのが、各種の金利引き下げ制度をフル活用することです。そのままの金利で借りるのと制度を適用して借りるのとでは、総返済額に数百万円単位の差が生じます。特に注目すべきは「フラット35子育てプラス」です。

フラット35子育てプラスとは、子育て世帯(借入申込時に子供がいる世帯)や若年夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)を対象とした優遇制度です。この制度の特徴は、子供の人数や住宅性能に応じて「ポイント」が加算され、そのポイント数に基づいて金利引き下げ幅と期間が決定される仕組みにあります。

1ポイントあたり、当初5年間の金利が年0.25%引き下げられます。若年夫婦世帯または子供1人の場合は1ポイント、子供2人の場合は2ポイント、子供3人の場合は3ポイントが付与されます。さらに、ZEHや長期優良住宅といった高い住宅性能を持つ物件を購入する場合は、フラット35Sとの併用によりポイントが加算されます。

2025年12月現在、この制度による金利引き下げ幅の上限は、当初5年間で最大年1.0%(4ポイント相当)に設定されています。基準金利が1.970%の場合、最大割引を適用すると当初5年間の適用金利は0.970%となります。この「0%台」という金利水準は、変動金利と比較しても十分に競争力のある数字です。教育費や生活費がかさむ子育て初期の5年間に返済負担を大幅に圧縮できるメリットは非常に大きいといえます。

ポイントの繰り越しルールによる長期優遇

フラット35子育てプラスには、さらに有利な「繰り越し」ルールがあります。通常、金利引き下げ幅の上限は年1.0%(4ポイント)ですが、保有ポイントが合計5ポイント以上になった場合、使い切れなかったポイントは消滅するのではなく、6年目以降の金利引き下げに充当されます。

子供が3人いて(3ポイント)、かつ最高性能のZEH住宅(3ポイント)を購入した場合、合計6ポイントとなります。この場合、当初5年間は4ポイント分を使用して金利がマイナス1.0%となり、適用金利は0.970%です。6年目から10年目は残りの2ポイント分を使用して金利がマイナス0.5%となり、適用金利は1.470%となります。

このように5年を超えて長期にわたり優遇を受けられる可能性があるのです。従来のフラット35S(Aプラン・Bプラン)にはなかった柔軟な仕組みであり、多子世帯や高性能住宅購入者にとっては、固定金利のデメリットである金利の高さを相殺する強力な武器となります。

2025年の制度拡充と中古住宅への適用拡大

2025年は、新築偏重だった住宅政策が中古市場へと大きく舵を切った年でもあります。2025年4月から「フラット35中古プラス」が開始されました。これはインスペクション(建物状況調査)を実施し、一定の性能が確認された中古住宅を購入する場合に金利を引き下げる制度です。金利上昇により新築価格が高騰する中、比較的割安な中古住宅を選択肢に入れる層にとっては有効な制度といえます。

さらに2025年10月からは「フラット50」の融資対象が拡大されました。これまでは長期優良住宅のみが対象でしたが、「予備認定マンション」や「管理計画認定マンション」も対象に含まれるようになりました。管理計画認定マンションとは、修繕積立金の計画や管理組合の運営状況が適正であると自治体から認定されたマンションのことです。

これにより、資産価値の維持が見込まれる良質なマンションであれば、最長50年の超長期固定金利を利用しやすくなり、月々の返済額を抑える戦略が取りやすくなりました。なお、2025年10月以降は土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)での新築住宅に対する「子育てプラス」等の利用制限が強化されている点にも注意が必要です。

金利上昇が返済額に与える具体的な影響

金利が0.07%上がった、あるいは1.97%になったといわれても、直感的に家計への影響を理解するのは難しいものです。具体的な借入金額を設定し、金利上昇が月々の返済額や総返済額にどれだけのインパクトを与えるかを確認しましょう。

借入金額4,000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしという標準的な条件で試算します。

金利1.0%の場合(かつての低金利環境)、毎月返済額は約112,914円、総返済額は約4,742万円となります。金利1.97%の場合(2025年12月のフラット35)、毎月返済額は約132,154円、総返済額は約5,550万円となります。金利2.5%の場合(今後の金利上昇想定)、毎月返済額は約143,212円、総返済額は約6,015万円となります。

金利毎月返済額総返済額
1.0%約112,914円約4,742万円
1.97%約132,154円約5,550万円
2.5%約143,212円約6,015万円

金利1.0%の時代と比較すると、現在の1.97%では毎月の返済額が約1万9,000円増加します。年間では約23万円、35年間では約800万円もの負担増となります。これは高級車1台分、あるいは子供一人の大学費用に匹敵する金額が、金利コストとして上乗せされることを意味します。

さらに金利が2.5%まで上昇した場合、月々の返済額は1.0%時代より約3万円増え、総返済額の差は1,200万円を超えます。月3万円の負担増は食費や教育費の削減を迫られるレベルであり、家計にとって非常に大きな影響を及ぼす水準です。

借入可能額の縮小という隠れたリスク

金利上昇の影響は支払額の増加だけにとどまりません。金融機関の審査において「借入可能額」が大幅に減額されるリスクがあります。多くの金融機関は、年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)を30%から35%程度に抑えることを融資条件としています。

年収600万円の人が返済負担率35%で借り入れる場合を考えてみましょう。審査金利1.0%の場合、借入可能額は約6,000万円から6,700万円程度まで伸びます。審査金利2.0%の場合(現在のフラット35水準)、借入可能額は約5,280万円まで低下します。

金利が1%上がることで、借りられる金額が1,000万円以上も減ってしまうのです。予算6,000万円で都内のマンションを探していた人が、金利上昇によって予算を5,000万円に下げざるを得なくなり、希望のエリアや広さを諦める、あるいは購入そのものを見送るという事態が、2025年12月の市場では現実に起きています。

団信加入と金利の関係

フラット35の金利1.970%には「新機構団信」の保険料が含まれています。健康上の理由で団信に加入できない場合、あるいは民間の生命保険で代用するために加入しない場合、金利は0.20%引き下げられ約1.770%となります。

一方、夫婦で連帯債務者となり二人とも団信に加入して保障を厚くする「デュエット(ペア連生団信)」を利用する場合、金利は0.18%上乗せとなります。借入額4,000万円の場合、0.18%の上乗せは月額約3,500円程度の負担増になりますが、夫婦どちらかに万が一のことがあった場合に住宅ローン残高がゼロになる安心感は大きな価値があります。金利上昇局面では、こうした付帯コストも含めた総支払額のシミュレーションがより重要になります。

変動金利と固定金利の比較と選択

2025年12月現在、住宅ローン検討者を悩ませる最大の問いは「変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか」です。両者の金利差は依然として開いていますが、将来のリスクシナリオは大きく変化しています。

変動金利は依然として0.3%から0.5%台という超低金利を提供するネット銀行が存在しますが、その潮目は変わりつつあります。2025年後半にかけて、大手銀行を中心に変動金利の基準金利や優遇幅を見直す動きが出てきました。一部の予測では、2026年にかけて変動金利の適用金利が0.6%から0.7%台、あるいは実質1%台に乗るシナリオも指摘されています。

変動金利には「5年ルール(5年間は返済額が変わらない)」や「125%ルール(返済額アップは1.25倍まで)」という激変緩和措置がありますが、これは「毎月の支払額」を抑制するだけであり、「支払うべき利息」を免除するものではありません。金利が急騰した場合、毎月の返済額に占める利息の割合が極端に増え、元金が全く減らない、最悪の場合は未払い利息が積み上がっていくリスクがあります。

固定金利フラット35の再評価

1.97%まで上昇したフラット35ですが、見方を変えれば「今後35年間、金利変動リスクから完全に解放される保険料」と捉えることもできます。特にインフレが進行する経済下では、貨幣価値は目減りしていきます。将来的に物価や給与が上がっても、固定金利であれば返済額は変わりません。実質的な返済負担は年々軽くなっていく効果が期待できます。

「子育てプラス」等の優遇制度を使えば、当初5年間から10年間は変動金利に近い低金利(0.97%など)で借りつつ、金利上昇リスクのない固定金利のメリットを享受できます。この「ハイブリッド」な使い方ができる点が、現在のフラット35の最大の強みです。

将来の金利上昇局面では「2%台前半」が固定金利の常態になるとの予測もあり、現在の1.97%は「まだ低い水準」として、今のうちに固定してしまうのが合理的だという見解も増えています。

借り換えとミックスローンの活用

既存の住宅ローン利用者、特に変動金利利用者の中には、将来の金利上昇を懸念して固定金利への借り換えを検討する動きがあります。2025年後半のデータでは、借り換え需要は底堅く推移しており、金利上昇局面でも一定の貸出需要が維持されています。

リスク分散の手法として「ミックスローン」も有効です。借入額の半分を変動金利にして低金利の恩恵を受けつつ、残り半分をフラット35で固定して金利上昇リスクをヘッジするという方法です。金利環境が不透明な現在、こうした柔軟な設計が求められています。

2026年の金利見通しと不動産市場の展望

複数の専門家の予測を総合すると、2026年の住宅ローン金利は「緩やかな上昇基調」が続くというのがコンセンサスです。日銀は2026年にかけて政策金利を0.75%から1.0%程度まで引き上げる可能性が高いと見られています。

これに連動して、変動金利は1%台への到達が現実味を帯びてきます。固定金利は長期金利の上昇に伴い、2.0%から2.5%のレンジで推移すると予想されます。かつてのような「全期間固定1%台」の時代は終わりを告げ、金利2%から3%が当たり前の水準へと移行していくでしょう。

2026年の不動産市場は、金利上昇と物件価格高騰の「ダブルパンチ」に見舞われることになります。建築資材の高騰や人手不足による建築費の上昇は止まらず、新築マンションや戸建ての価格は高止まりが続く見込みです。

都心・駅近エリアでは、富裕層やパワーカップル、投資マネーが流入し、金利上昇下でも価格は維持、あるいは上昇する可能性があります。一方、郊外・駅遠エリアでは一般的な実需層がメインの市場となるため、金利上昇による返済負担増が購入意欲を直撃し、価格調整が進む可能性が高いでしょう。

金利上昇時代の住宅購入で押さえるべきポイント

2025年12月のフラット35金利「1.970%」への上昇は、新しい時代の到来を告げています。金利リスクを無視して限界まで借り入れることができた時代は終わり、堅実な資金計画とリスク管理が求められる時代が始まりました。

住宅購入を検討する際は、「借りられる額」ではなく「返せる額」を基準にすることが重要です。金利上昇局面では、銀行が貸してくれる金額と生活を圧迫せずに返せる金額の乖離が広がります。金利が2.5%、3.0%になっても返済可能な借入額に抑える判断が必要です。

「子育てプラス」や「フラット35S」、「住宅ローン控除」の対象となる高性能住宅を選ぶことは、エコや快適性だけでなく経済的な防衛策にもなります。物件価格が多少高くても、金利優遇と税制優遇、光熱費削減でトータルコストが逆転するケースは多々あります。

目先の変動金利の低さに惑わされず、35年という長い期間の安心を確保するためにフラット35を活用することも選択肢のひとつです。特に「子育てプラス」による当初期間の低金利は、変動金利とのミックス戦略や将来の繰り上げ返済原資を作るための時間稼ぎとして有効に機能します。

金利ある世界への回帰は日本経済が正常化に向かうプロセスでもあります。正しい知識と戦略を持てば、この局面を乗り越え、納得のいくマイホーム取得を実現することは十分に可能です。

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